浜一

晩春の浜一のレビュー・感想・評価

晩春(1949年製作の映画)
3.6
★学生時代に日本映画の名作を勉強する意味で鑑賞。あまり良く判らなかった。
★【互いを気遣い合う父と娘の物語】ということだが、自分には紀子が重度のファザコンに感じられた。伯母から父に再婚を勧めていると話を聞かされて、父の顔を見るのも嫌がり、自室で泣きじゃくってしまう。本来、自分は昔の映画を鑑賞する際に、現代の価値観を基準にして観ることは嫌いなのだけど。今回はファザコンに見えてしまった。
★一方で、服部とのサイクリングデートシーンではホントに付き合っている程に仲良く見える。紀子は服部に恋心を感じていて、服部を忘れられずに結婚に踏み切れない一面もあったのか?
★原節子の演技は、無言で怒りを表したり、失望したりを見事に表現したと思う。
★劇中に登場するGHQが立てたとおぼしき英語表記の標識が気になった。現代の映画やドラマでは殆ど見ない標識。最近だと「ゴジラ-1.0」があの時代を描いた作品だが、焼け跡の敷島家周りにも無かったし、銀座にも無かった。一方で黒澤明が90年代に製作した「まあだだよ」では焼け跡のロケセットに英語表記の標識が立っているのである。
現代の作家たちは見過ごしているのか?それとも意図的に外しているのだろうか?
浜一

浜一