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LIFE IN A DAY 地球上のある一日の物語のslowのレビュー・感想・評価

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世界中の人々からこの映画企画のために寄せられた、とある一日の膨大な記録映像。そのままであれば取り留めのないドキュメント映像だけれど、巧く繋ぎ合わせ映画にすることでフィクションのようにも機能して、観る者に不思議な感覚を味合わせてくれる。少なくともわたしにとっては。つまり、ここにあるのは全て現実だけれど、わたしにはそのひとつひとつが、いつか観た、観るかもしれない映画のエピソードのようにも見えて来る、ということなのかもしれない。逆に言えば、わたしの大好きな映画に登場する、ロンドンの曇り空の下で朝を迎えるあの人も、ブエノスアイレスの街角で愛を探しているあの人も、台北の夕暮れを背に彼方を望むあの人も、テルアビブの海辺で笑顔を忘れたあの人も、この映画のなかにはいないけれど、わたしの頭の中では同じ日を生きる、寄せられた様々ないのちの物語のひとつだ。あふれる信仰や文化、残酷な贈り物、親愛なる唄、生き長らえることの功罪、ここにあるものぜんぶが、わたしたちの世界と映画を繋いでいる。
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