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ザ・フライのLEOのレビュー・感想・評価

ザ・フライ(1986年製作の映画)
4.1
天才科学者セス・ブランドルは物質転送機を開発し、自らの身体を実験台とした転送を行った時に転送機の中に侵入した一匹のハエと意図せず融合。
一時的に超人的な身体能力を得るものの、肉体は徐々にハエ化し朽ちていく。
セスはそれを阻止しようと、転送機を使って恋人のヴェロニカと二人の間にできた胎児との融合を画策するが、最終的に死を選ぶという話。

普段はホラーを観ない私ですが、この映画は大好きで本当に名作だと思うので久々に鑑賞。
ホラーというよりヒューマンドラマだと思ってます、私は。
もちろん、蝿に変貌していく過程での、皮膚が腐食し、爪が剥がれ落ち、歯もボロボロと抜け落ち、耳がもぎ取れる等ホラーマニアさん達が大好きそうな強烈グロテスク映像はありますよ。

でもどんなに醜い姿になっても彼を案じ、愛し続ける恋人ヴェロニカ。
どんなに醜い姿になろうとも最後まで心は人間のままなのが辛いセス。
ハエと融合してしまったきっかけがヴェロニカへの単なる嫉妬だっただけに、見るも無残な姿になり這いずりながらヴェロニカが持つ銃を自らの頭に当てて殺してくれと要望する姿は本当に切ない。

人間が持つ愚かさと愛情、そして弱さをワンシーンも無駄なく、恐ろしく、悲しく表現した素晴らしい映画。
さすがデビッド・クローネンバーグ!
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