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宮澤賢治 -その愛-のKaitoのレビュー・感想・評価

宮澤賢治 -その愛-(1996年製作の映画)
3.8
BSで放送していたものを録画し、鑑賞。宮沢賢治生誕100年を記念して1996年に製作された作品。宮沢賢治の生涯を家族や作品とともに追っていくという話。見る前から宮沢賢治の作品は死後に評価されたというのは知っていたのだが、今回この作品を見ることにより賢治がどのようにして作品作りに向き合っていたのか、それと同時にどのような苦労があったのかなどが鮮明に見えた。特に妹のトシが亡くなった際の描写とその際に詠まれた歌である『永訣の朝』の朗読が印象的だった。『永訣の朝』は高等学校の国語の教科書に掲載されていることもあり有名であるがこの映画を見ることで賢治がその時どのような気持ちでこの歌を詠んだのかということがよく分かってとても良かった。晩年は闘病しながら教師の仕事もしたりと忙しかったようである。生まれ故郷の岩手をモチーフとしたイーハトーブと呼ばれる心象世界の中の理想郷を創造したりといったような活動もしていた。賢治は農業に精通しており教師として教鞭をとっていた時も主に農業について教えていたようだ。このようにこの映画は事実に沿って描かれているので知れること、学べることが多いし描写も難しくなく平易なものなので私個人的には学校などの教育機関で学習教材として見るのに適している作品だと感じた。もし私が国語の教員で宮沢賢治の作品扱うとしたらその作品について学ぶ前にこの映画を見せたいなというようなことを考えたりもしていた。宮沢賢治という名前は聞いたことがあるという人は多いと思うが彼の作品や生涯についてちゃんと知っている人はという人は少ないと思う。なのでもし宮沢賢治について知りたい、あるいは知る必要があるといったような場合には是非この作品を足掛かりにして宮沢賢治という人物について深めていってほしいと感じる。
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