『ザ・プレイヤー』
原題 The Player.
映倫区分 G.
製作年 1992年。上映時間 124分。

ハリウッドから離れて映画製作を行なっていたロバート・アルトマン監督が復活を果たしたブラック・コメディ。
ハリウッド業界を皮肉った作品ながら、ハリウッドの人気映画人たちが大挙してカメオ出演している。

ある日、敏腕映画プロデューサー、グリフィン・ ミルのもとに、かつて冷たくあしらった脚本家らしい人物から脅迫状が届く。 機嫌を取って脅迫をやめてもらおうと脚本家に会いに行くミルだが、行きがかりで彼を殺してしまう。
警察に付きまとわれるようになるミルのもとに、またしても脅迫状が殺した男は脅迫犯ではなかったのか？

って云う筋書きは、典型的なミステリー/サスペンスもんやけどロバート・アルトマン監督の今作品は、全く違った種類のミステリーでした。
主人公のミルを演じてんのは、アルトマンと同じように映画監督でもあり、また反骨精神の持ち主ティム・ロビンス。
ほかにも個性派の俳優たちが脇を固めてたけど、この作品の何よりの特徴は、バート・レイノルズ、アンジェリカ・ヒューストン、ジャック・レモン、シェールetc.. キラキラ星の如きスターたちが、本人の役でカメオ出演してる。こラスト近くの映画内映画には大物の男女優が顔を出すけど、これは作品そのものの皮肉なオチともなってるし、俳優名は伏せておきます。
スターたちが本人役で画面を行き来し、登場人物たちが過去の名作の長廻しについて論じる冒頭シーンは実際に8分間の長廻し。
ここやと『卒業2』のアイデアをプロデューサーに売り込んでたは、実際の映画『卒業』の脚本を書いたバック・ヘンリー本人。
って、今作品は虚構と現実の迷宮 の中に、主人公を、そして、小生叩き込んでくれた。
出世作『M★A★S★H マッシュ』(1970) は朝鮮戦争を背景としたブラック・コメディやったけど、アルトマンは登場人物たちに朝鮮戦争ではなく、ベトナム戦争の装備を身に付けさせることで、観客に当時進行していたベトナム戦争のリアルを感じさせた。
今作品でも、アルトマン・マジックによって、主人公と共に悪夢の迷宮の中を彷徨いながら、映画製作の“リアル"を胸に刻めたかな。
作中では、野心的な題材が映画会社の金儲け主義によって、ご都合主義の娯楽映画になってしまう、ちゅうサブブロットが語られてた｡
メインプロットの主人公であるミルも、人を殺しておきながら、ビジネス上でも、ロマンスにおいても、ハッピーエンディングを迎える。
何でかは、その合理的な説明はない。
不条理であっても、理不尽であっても、ハッピー・エンディングこそが大切と云わんばかりに。
今作品はミステリー映画の体裁を取りながら､ 提示された謎は合理的に解決されねばならないちゅうミステリーの第一原則を敢えて破ることで、アルトマンがハリウッドに放った鋭い皮肉の矢なんかも知れへんなぁ。
となると、ラストに登場する姿なき真犯人の正体は誰。
時としてハリウッド映画の底の浅さ、ご都合主義を批判する。
そやけど実際にヒットするのは(小生も手に取りがち)、 ご都合主義のハッピー・エンディング作品ばかり。
となれば底の浅い作品を量産させている。
真犯人は、実はほかならぬ小生を筆頭の観客なんちゃうかと。
アルトマンの鋭い矢は虚構の世界 から銀幕を、モニターを突き抜けて、真っ直ぐに突き刺さる。

ザ・プレイヤーって何なの？遊び人を描いた作品なの？遊び人よりも酷いわっ、バッキャローッ！

このサスペンス・コメディに馴染めない。わかりにくくマニアックに攻めてくる。

ロバート・アルトマン監督がハリウッドの裏側をゲス黒く描く。カンヌ国際映画祭において監督賞や主演男優賞を受賞したからと言って、万人に受け入れられる内容ではない。

映画会社の重役、あり得ないゲス野郎のグリフィンが中心人物なのだ。そのゲス野郎をティム・ロビンスが演じる。とても自然な演技で元々ゲスな野郎かと誤解を招く。豪華なカメオ出演の俳優たちも、それに付き合っている。

これは自称映画通が喜びそうな内容だ。この皮肉まみれの作品を高評価するに違いない。「この作品凄ぇ…」とか言っていれば、それだけで自称映画通の仲間入りができる素晴らしい作品なのだ。

『お約束』を無視する。計算された破壊力や鑑賞者をコケにするパワーが凄い。本作に何かを求めてはいけない。興味深いけど何も残るものはない。

• #ゲスにつける薬なし
• #高評価しないと自称映画通からバカにされる作品

⚪概要とあらすじ
権力者“プレイヤー”を目指す若手プロデューサーを主人公に、ハリウッドの内幕をシニカルに描いた作品。

グリフィン・ミルは、大手映画スタジオのエグゼクティブ。高級4WDを乗り回し、多忙な日々を送っている典型的な業界人である。やり手のプロデューサーである彼のオフィスには、朝から売り込みのライターや監督たちでひきもきらない。そんなある日、いつものようにオフィスに出勤した彼は、ある一通のハガキを目にする。そこには彼を殺すといった内容が書かれていた...。

⚪キャッチコピーとセリフ
“映画は脳なしと殺人者によってつくられる－”

「遅かったのね」

⚪感想
映画で映画の話をしてるって斬新。

年代が古いだけに理解できないところが多いのが辛い。予備知識がないとあんまり楽しめない。解説見てからなるほどなって思ったり。

冒頭の長回しと群像劇。こういう演出の作品が好きなんだけどこれは苦手だった。

ブラックコメディー要素が笑えずかなりしんどくなってくる。

かなり賞を取っているけど万人受けではない作品な気が。

この作品を細かく語ることで映画に詳しい人という称号が貰えそうな感じの作り。
残念ながら私にはさっぱりだった。

皮肉がそのままこの映画に跳ね返ってきていて深いなって思う。

映画の知識を高めてからまた観たい。

⚪鑑賞
GYAO!で鑑賞(字幕)。

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