ほーりー

赤と黒のほーりーのレビュー・感想・評価

赤と黒(1954年製作の映画)
3.5
【夢をなくした奈落の底に~♪】

ジェラール・フィリップという俳優を知ったのは小森のおばちゃまが書いた『ビデオで観たい「スター」ベスト100』という本だった。

そこで初めてフィリップのご尊顔を拝し、「ああ、こんな美男子がいたんだ」と思った。その時の写真が『赤と黒』でのジュリアン役だった(…のはず)

どうでもいいことですが、私と誕生日が一緒というのも親近感が一気にわいた。

さてこの『赤と黒』。美貌と知能と野心を兼ね備えた青年。ただ一点、下層階級出身だということで冷飯を食わされ続け、何とか這い上がろうと周りの人間を踏み台にし、やがて破滅していく様を描いた文芸大作。

スタンダールの原作は読んだことないけど、本屋で見かけると上下二巻の文庫本で結構な厚さだった。

その膨大な原作から映画化するのに苦心したと思うが、かなりモノローグを多用している。

原作の持ち味を損なわないようにしていると思うが、やっぱり台詞ばかりで処理しちゃうと映画としての面白さが足りない気がする。

あと本作は回想形式になっており、ジュリアンが裁かれる場面からスタートするが、法廷でジュリアンが訴える本作の肝の部分を早速ここで明らかにするのも勿体ないと思った。

ドラマのクライマックス部分に持っていった方が効果的ではなかったか。

それにしても市長夫人を演じたダニエル・ダリューの美しさ、そして高貴さに目を奪われてしまう。

個人的には前半のフィリップとダリューの不倫劇では集中力が続いたが、ダリューと別れて後半の公爵令嬢との絡みになってからはダレを感じた。

■映画 DATA==========================
監督:クロード・オータン=ララ
脚本:ジャン・オーランシュ/ピエール・ボスト
製作:アンリ・デューチュメイステル/ジャンニ・ヘクト・ルカーリ
音楽:ルネ・クロエレック
撮影:ミシェル・ケルベ
公開:1954年10月29日(仏)/1954年12月25日(日)
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