スタローンの代表作のひとつ『ランボー』シリーズの一作目。
一言でいうなら、戦争を忘れようとする社会と、戦争のなかに生き続けざるを得ない個人の戦いのものがたり。なによりの悲劇は、ランボーをはじめ兵士を戦地に送り込んだのは、ほかでもなくいままさに戦争を忘れようとしている社会だったということでしょう。
なにがランボーの足をあの街に引き返させたのか。そのまま通り過ぎることはできたはずなんです。それはやはり、自分を戦争という悪夢にほうりこみ、みずからは悪夢からさめて平和をむさぼる(ランボーのような異物を排除することで)社会にたいする、怒りだったのでしょう。
戦争の悪夢のなかに生き続ける個人、という意味では、『ゆきゆきて、神軍』と通じるもののあります。日本とアメリカで、同じテーマの映画がほぼ同じ時期に製作されているのは、偶然なのでしょうか。