Siesta

ランボーのSiestaのネタバレレビュー・内容・結末

ランボー(1982年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

想像を超えて遥かにシリアスさ 完全にアクション大作のそれではない ベトナム戦争帰還兵のPTSDという題材を当時から描くのは相当勇気のいる行為のはず 同じくスタローンでも、ロッキーがアメリカンドリームを掴んだアメリカの表の英雄の光の部分であれば、今作はアメリカの裏の英雄の影の部分
冒頭からもうランボーが不憫でならない ずっとランボーが可哀想な映画なんだよな ただ歩いているだけで捕まって、理不尽な尋問を受けて、戦地のトラウマがフラッシュバックして 逃げ出しても被害は最小限にしながらも、彼のせいではない形で事故のように死人が発生しても、それはランボーに全て責任と矛先は向くわけで 地元警察、保安官に理不尽な扱いを受けたことはもとより、最後のセリフにあった通り、彼の中での戦争は終わっていなくて、トラウマからは逃れられないし、戦場でしか生きていけない、仲間を見つけられないという悲哀 森の中でサバイブする擬似戦場感もまたランボーの居た堪れなさを増長する 一応はさせられている形なんだけど、ごっこ遊びになっているようでもあって あと、これはランボー目線だから、ランボーが可哀想ってなるけれど、逆の立場から見た作品内の一般視点では、得体の知れないテロリストにも見えるのだろうし 実はものすごく複雑さを持っていると思うんだよな 安直にランボーが可哀想って思えるのは、彼の視点で見ているからで ラストのランボーの怒りからの悲しみへと移ろう叫び 誰よりも過酷な状況に耐え続けた彼が最後に堰を切ったように本心を叫ぶからこそ説得力がある それに、戦争という視点で見るのはもちろんだけど、苦しみやトラウマ、孤独感 それって、普遍的なものだよな
音楽も控えめで最初の警察署から飛び出しての保安官の追跡シーンのCGないからこその迫力、警察署も地元と国、若手とベテランで微妙に違うところも面白い ラストの本心の爆発からの逮捕もこれまた単純なバッドエンドとも言えず もちろん、元々は何も悪いことをしていない彼が逮捕されてしまうという不条理もそうなんだけど、本心を曝け出した痛ましさと同時にそれは鎧を一つ脱ぐことができたわけでもあり これはただのアクション映画、反戦映画ではない アクションの迫力、素晴らしさ、PTSDに視点を当てる先見性もさることながら、非常に普遍的なヒューマンドラマの傑作
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