海猫

ランボーの海猫のレビュー・感想・評価

ランボー(1982年製作の映画)
4.0
TV放映であったり、ソフトであったり、かなり回数見ている作品であるが、機会あって再鑑賞。序盤の強引な取り調べから、炸裂するアクションにいく流れは高揚する。小さかったはずの暴力が引火して巨大な暴力になり、果ては戦争状態になる様も時間を忘れる。黙々と圧倒的強さのゲリラ戦で反撃に出る、ランボーの佇まいにも説得力を感じた。「ナメてた相手が実は殺人マシーン映画」として今見ても出色の面白さ。ただし、敵をバッタバッタ倒して痛快爽快というタイプの作品ではない。作品全体に漂う苦さはベトナム戦争というバックボーンがあるからで、戦闘が泥沼化していく作品の内容と相まって、テーマが重くのしかかる。激しく闘いながらもランボー本人は人を殺そうとしない。また、肉体的に強いランボーが実は精神的な脆さを持っていたことがわかる、ラストの心情吐露場面などアクション映画ではあるものの繊細。こうした要素が時代を超えて残る作品にしているように思う。この映画はシリーズとしてさらに展開されたが、一作目にあった繊細さを失い、ランボー本人もマッチョなだけの殺人マシーンになっていくのは皮肉でもある。というわけで今回も楽しんだが、これまでに見た回数が多すぎるので「驚き」がないのは、仕方がない。
海猫

海猫