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結婚相談の3104のレビュー・感想・評価

結婚相談(1965年製作の映画)
4.1
婚期を逃した三十路OL・島子。
同僚の式に出席した帰りに結婚相談所の扉を叩く。
そこは一見普通の相談所だが、実は・・。

オープニング。
いつも可愛い芦川いづみだが今回は“爽やかさ”“若さ”がない。美顔ローラーコロコロ。
次いで高らかに鳴り響く『結婚行進曲』。
「結婚相談」というコメディ方面への展開を想起させるタイトルとは裏腹のタッチから、既にこれは普通の作品ではなさそう・・という期待が膨らむ。

映画はその期待にある意味では応え、別の意味では応えない。
予想だにしない島子の“転落人生”が描かれるのだが、正直ストーリーは荒唐無稽でチグハグなところが目立つ。アクセルやブレーキ、ギアやステアリングの使い方と使いどころが絶妙な所でズレている感じ。しかしそこがかえって画面から目が離せない一番の要因になっている(いや一番というのはウソです二番です。一番は芦川いづみの可愛さです。全編ほぼ出ずっぱり)。「島子がどんな目に遭うのか≒観ている客としてはどこへ連れていかれるのか」という“ワクワク”を燃料に、運転手・中平康は何処へ往くのか。車内BGMはバーブ佐竹の『女心の唄』(劇中で悪ノリに近い形で多用される)。

主人公の島子と同じ歳でこの役を演じた芦川いづみ。
童顔で清楚な普段のイメージとの落差も鮮やかだが、そんな役を演じながらもやはり漂う品性のようなものが、今作をただのエログロ・露悪的な作品に貶めていない大きな推進力になっているように感じる。
実年齢上に加齢を感じさせるようなメイクを施され、驚愕や悲嘆や恐怖の表情、および涙や叫び声を要求され、何よりこれでもかこれでもかとひどい目に遭わされ続ける。しかしそういった扱いから、監督の彼女に対する愛情のようなものが垣間見えてしまうのは不思議といおうか納得といおうか。

他のキャストではやはり結婚相談所の長を演じた沢村貞子。彼女の表情や所作、言動から漂う“あくどさ”が何とも魅力的。

終始驚きやニヤリの連続だが、ラストのあれはなんだろう。人を食ったような、いやこちらとしては食われたような、食われてモグモグ、ペッと吐き出されたような妙な気分。変な映画ー。
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