こつぶライダー

ブタがいた教室のこつぶライダーのレビュー・感想・評価

ブタがいた教室(2008年製作の映画)
4.3
賛否両論を呼ぶ内容は間違いないし、手放しに良かった!と叫ぶには難しいテーマを扱っている。しかしながら、間違いなく良かったのは、実話を元にこれだけドキュメントになる作品を撮った製作陣の熱意!感心した!

妻夫木聡の教師役もハマっていたが、それ以上に児童役の全ての子役が素晴らしい!
実際に、セリフを子どもたち自らが考え、ディベートしたという。それだけリアルだし、小学生の等身大の身体が乗っかった作品となっている。

ノンフィクションではなく、あくまでも事実を元にした原作を脚色したフィクションでありつつ、リアリティを出した工夫にあっぱれ。

かなりショックな生命の尊さを説く物語だが、これを映画化することで、作品を観た子どもたちが疑似体験することができる。
それだけでも、この作品の持つ貴重さがわかるのである。

大人の私でさえ迷うような、答えが出ない問題に対して挑まなければいけない12歳の少年少女たちは、自分には想像もし得ない葛藤があるんだろうなあ。
しかし、そういった答えのないものを本気で考える機会を与えてもらえるのって、幸せなんだよね。

なんとなく生を繋いでいる人間にとって、本能で生きる動物の姿や、それを一生懸命育てる人の姿は輝いて見えないだろうか?

動物・植物に関わらず、生命を頂いて生きている自分らにとって、食べ物に生命価値を見出すのは至極当然である。
ましてや、自分たちが手塩をかけて育ててきたペットであれば、尚更だ。

食べるか、生かすか。
その選択を12歳にさせるのはいささか酷なようにも感じる。ただ、これによって答えのないことを真剣に考えて、答えを導き出さなくてはいけない世の中のつらさを感じ取れたら上出来かな?
こつぶライダー

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