のんchan

ベニスに死すののんchanのレビュー・感想・評価

ベニスに死す(1971年製作の映画)
3.7
ヴィスコンティ監督『ドイツ三部作』のニ作目

観終わるとなぜドイツ?となるけど、原作者トーマス・マンがドイツ人、そして主人公がドイツ人(モデルが作曲家グスタフ・マーラー)というだけでドイツは出て来ません。


心身共に疲弊している初老の作曲家グスタフ・フォン・アッシェンバッハ(ダーク・ボガード)が静養のためベニスを訪れる。そこは観光地、様々な国からの裕福な貴族たちで溢れていた。
グスタフはホテルで見かけた、ポーランド貴族一家の中にこの世のものとは思えないほどに美しい少年タッジオ(ビョルン・アンドレセン)に目が釘付けとなり、それからは一日中タッジオの姿を追い求めるのだった。
しかし、ベニスは疫病が蔓延していた。人々は急激に帰って行く。
しかしグスタフは動じない。床屋から若さが必要だと言われたまま、白髪染めをし、髭まで黒くし、白塗り、口紅を施される。
もう自分の命の限界が解っていたのだろう、浜辺の椅子に座り、陽射しで汗とと共に染め剤の黒い液体が頬を一筋垂れたまま、タッジオを思い浮かべて息絶える。


皆さまが高スコアな作品と理解はしていました。
しかし、自分の好みのアンテナがずっと立たない作品だったのが当たりました。
芸術性が解らない薄っぺらな人と思われて結構です。
私は全く感動を覚えませんでした。
初老の男(亡くなった妻と娘を愛していた)が少年に恋焦がれる気持ちはまぁ肯定します。その気持ちを表すダーク・ボガードの演技は十分でしたが、ストーカーにしか見えませんでした。

このスコアは映像美、音楽(マーラー)、衣装、特に女性の大きな帽子がとても素敵で優雅でウットリ。タッジオの母役シルヴァーナ・マンガーノは美しかった。そこは加点になりましたが...


あら?もしかしてヴィスコンティは苦手になるかしら?
『ルートヴィヒ』は観る予定ですが。
鑑賞後に調べたら、ヴィスコンティのアンドレセンへの扱い方があまりにも酷く、人間性を疑うような言動の記事を目にしてとてもガッカリしています。
どんな偉大な監督であっても、私は人間性を重視します。
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