ラストに描かれる“若さの美”と“老いの醜さ”とのコントラストの秀逸なこと、この上ない。
これほどに“恋”というただそれだけの気持ちをシンプルに描ききった作品があっただろうか。人間の美への憧憬は狂気をも引き起こす。芸術と人間の本質を描いた作品だとも思えます。
この時代にこの内容を描いて受け入れられるのは、ヴィスコンティの映像美があってこそだと思う。美しく儚い、うたかたの恋を圧倒的な画力と音楽で描いた傑作。
この映画は、ヴィスコンティがビョルン・アンドレセンを見つけたことでほぼ価値が決まったようなものかもしれない。
美少年タッジオを追いながら悶々とするダークボガードの演技、セリフがなくとも想いが伝わってきて切ない。あの気持ち悪さはダークボガードにしか出せないと思う。キャスティングのセンスもさすがです。
普遍的なテーマをこんなにも芸術的に描くヴィスコンティの力量。映画は芸術品であると思わせてくれる作品でした。
好き過ぎてリド島に行ったぐらい。4回は観てる。マーラーも聞きまくりました。