Mikiyoshi1986

炎628のMikiyoshi1986のレビュー・感想・評価

炎628(1985年製作の映画)
4.3
Filmarksで驚異の平均スコア4.5を叩き出す、露助がナチを痛烈にdisった厭戦映画。
先週末とうとうBlu-ray版がリリースされました。

舞台はソ連西部に位置し、ポーランドと隣接する旧・白ロシアの村々。
大戦中ナチスドイツ軍によるソ連侵攻の激戦地として、大量虐殺が行われた惨状をフィルムは重々しく映し出します。
空爆のシーンは本物の戦争を見ているかのような距離感で、火薬の威力にも度肝を抜かれることでしょう。
そして完膚無きまでに敵を抹殺しようと半ばはしゃぎながら残虐なホロコーストを行うドイツ兵たちの姿…。

そんな戦争という憎しみが憎しみを生む連鎖に巻き込まれていく主人公の少年フリョーラ。
次々と目の当たりにする光景は正に悪夢のような地獄絵図であり、少年の顔がみるみる老けて込んでいく様にはもう言葉も出ません。演技力ぱねぇ。
一体何が人間をここまで非道にするのか。

殺戮と惨劇の地を目眩く駆け巡るフリョーラ、そしてそれを長回しの手持ちカメラで追っていく臨場感には息が詰まります。
また音響効果と音楽も大変素晴らしく、全体を占めるダウナー系のアンビエントが映像の重苦しさを更に助長させてくれます。
ちょっとCorruptedを聴いてる気分になってくる。

とても印象的なのは序盤フリョーラが誤って鳥の巣の卵を踏んでしまい、そのあと親鳥とおぼしきコウノトリが彼らに付きまとうシーン。
コウノトリといえば幸運や子宝を運ぶ伝承が有名であり、それはまるで罰か呪いかのように、その後の惨事(少女のオチも含めて)を予見させる不吉な演出に仕上がっています。
またヒトラー幼少期の写真効果も秀逸。

ちなみに終盤の「やめろ!何をするんだ!」と字幕が出るドイツ捕虜のシーンで、
「何すんだ!」&「もう、嫌!」とハッキリ聞こえる空耳があるので気になる方は是非確認してみてください。
Mikiyoshi1986

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