祖国を離れて久しく、日本人と変わらない生活をしているのに、折に触れて異物扱いを受ける主人公
出稼ぎでフィリピンから来た恋人とも違って、祖国に帰るつもりも無く、彼女と一緒にフィリピンに行ってまた異邦人として一から生きていく気にもなれない
タイトルの『月はどっちに出ている』は、迷子の新人タクシー運転手のエピソードから来ているが、どこにも帰属できない主人公の寄る辺なさも示す
主人公だけじゃなくタクシー会社の人みんなが社会の周縁にいる人ばかりで客観的に見たら悲惨な状況
でもこの映画はどんな場面でも深刻なトーンにならず、喜劇に徹しているのがとても良い
当時は映画賞たくさんとってるのに、いまなんでレア映画みたいになってるんだ?過小評価されてないか?