垂直落下式サミング

上島ジェーンの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

上島ジェーン(2009年製作の映画)
4.2
上島竜兵。47歳。ひと夏の恋と青春の物語。あの夏、いちばん汚ない海。
リアクション界の重鎮であられる上島竜兵師匠が、その秘蔵っ子の有吉弘行とともにサーファーを目指す姿を描いている。友情のモキュメンタリー作品だ。とりあえず海が茶色い。キタノブルーならぬマッコイグレー。
ストーリーは『我々は有吉を訴える』の監督が上島を主役にしましたという感じで、上島さんがサーフィン体験をする名目のTVバライティの企画っぽいドキュメントを中心に据え、『ダチョリブレ』の雰囲気を残しながら『その時、上島が動いた』のようなミドルエイジをむかえた男の葛藤を描くフェイクドキュメント風のドラマに仕上げている。
『その時~』は上島が監督にもクレジットされており、ストーリー上で彼が演出などに口を出しているので超つまらないが、不良や警察のステレオタイプで記号的な描写は本作に通じるものがあった。
そして、有吉のナレーション。上島を一番に尊敬しているのに突き放すようなツンデレっぷり。ふたりの関係性から目がはなせない。
テレビタレントのファンムービーであるため、映画としての評価はさておき、上島さんと有吉さんの関係は羨ましいな。軍人ロックスター有吉氏がパーソナリティをつとめるラジオ番組『有吉弘行のサンデーナイトドリーマー』では、毎年1月初週の新年第一回目の放送回には上島がスペシャルゲストとして登場するのが恒例となっており、同氏からすると後輩にあたる有吉さんと安田さんとの心温まるトークを聴くことができる。一年のはじめが一年で一番面白くないことで評判だ。
身体を張ることに魅せられた者たち。ダチョウ倶楽部、出川哲朗、電撃ネットワーク…“D”の意思に導かれた男達は何を求め、どこへ散っていくのか…。
「葬式はみんなで棺開けて熱湯をかけて、それで反応しないから死んだんだって泣いてくれよ」っていう遺言は超かっこいいと思う。