“Hello, John”
この時のバーバラ・スタンウィックのとろけるような甘美な表情は忘れられない。
大学の講義でチラッと見た『深夜の告白』の時の彼女は、前髪パッツンで全く美人には思えず、この女のどこが男を堕落させるファム・ファタールなのかと思った。『群衆』に出ている彼女の方がはるかに魅力的だ。
バーバラが自宅で原稿を書いているシーン。彼女と母親の会話から「貧しくとも助け合う、故に貧しくとも幸せである」という精神が描かれていることを強く感じた。アメリカは意外と田舎臭い心温まるストーリーが多い。これがキリスト教の隣人愛なのか。
アメリカがキリスト教の国であることを再認識せずにはいられぬ作品だった。キリスト教と切り離してこの作品を見ることは不可能だと思った。そして、ジョン・ドーの演説は自由・平等のキリスト教国家アメリカへの讃歌だ。
戦意昂揚、挙国一致を感じたのは私だけであろうか…。