イチロヲ

続・世界残酷物語のイチロヲのレビュー・感想・評価

続・世界残酷物語(1963年製作の映画)
4.0
前作の大ヒットを受けて製作された、「ヤラセあり」のフェイク・ドキュメンタリー第2弾。ヤコペッティ自身はあまりタッチしていないらしいが、正当な続編として完成されている(残念ながら、日本は登場せず)。

前作に比べると、胡散臭さが倍増しになっており、そのデタラメ感を味わうことができる。アフリカ移民に対する人種差別問題と、サイゴン(ホーチミン)における仏教弾圧は笑えないが、総合的にはアナーキーかつシニカルな笑いが備わっている。

あらゆる娯楽と食料品に溢れている都会人と、自然と共存しながら質素な生活を続けている未開人を対比させる作風。異文化における風習・奇習を、本当と嘘を混ぜながら紹介していく。「緊張と弛緩」の連続により、ぐいぐいと牽引されるのが心地よい。

扱っているテーマは、都会人のストレス問題、宗教家と芸術家の奇行、言論の自由と弾圧、人間と動物の共存生活、女性の商品化など。クライマックスでは、俳優オーディションの模様が描かれ、参加する老若男女の「人間」を観察することができる。
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