TaiRa

恋多き女のTaiRaのレビュー・感想・評価

恋多き女(1956年製作の映画)
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恋愛至上主義国家フランスの恋愛狂騒曲。バーグマンってこういうドタバタ恋愛喜劇やってる印象無いから変な感じ。顔がマジの人だから。

20世紀初頭のフランスを舞台に政治ゲームや恋愛ゲームが騒々しく繰り広げられる。独立記念日の大狂騒は画面の密度が異常でとにかく楽しい。車を降りたバーグマンが人の波の呑まれてあっちへこっちへ転がされる姿に、潜望鏡や子供を取り替えっこしながら物と人が行き交う様子が軽快に映される。ドサクサに紛れて主要人物の出会いも織り込み次の展開へ。とにかく画面に人が溢れていて情報量が多い。人物の一人一人がデザインされたキャラクターで誰を見ても面白い。ルノワールもサイレント期から喜劇を撮ってる人なので、人の動きがいちいちコミカルで楽しい。晩餐会の後に屋敷の至る所でから騒ぎが発生して行く展開が最高。部屋の出入りをギャグにする。女を取り合ってバカ同士が殴り合い始める姿が完全にサイレント喜劇。こういった群像喜劇の快楽は何かで観たなと思ったが、なんて事はない『ゲームの規則』を思い出しただけだった。終盤のホテルでも次から次へと人がやって来ては部屋から部屋へ移動し画面が休まらない躁状態。最後の最後は恋愛至上主義な国民性を愛らしく描くルノワール先生の達観がある。富豪のバカ息子がいちいちバカで全シーン面白かった。
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