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100,000年後の安全のchsyのレビュー・感想・評価

100,000年後の安全(2009年製作の映画)
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まるでSF映画のような時空を超えた想像を掻き立てられた。
未来の人類へ向けて語られる監督自身のナレーション、研究機関や現場で働く方々の語り口がやけに冷静で、背後にある事の重大さを物語り恐ろしくなる。
世界に先駆けての処分場の建設、10万年後という設定に国を挙げての取り組みの誠実さを感じたが、それでもなお議論を尽くしきれない試行錯誤の現実に気が遠くなった。もし他国でこれと同じことをしようとするならどれだけ大変な道を辿ることだろう。

作中オンカロの映像と共に流れる音楽が美しくも意味深く、人間の思惑とは一線を画した放射線そのものの神秘に想いを馳せてみる。一体我々にどんなメッセージを届けようとしているのか? 

制作してくれた監督に感謝。一国内の情報公開に留まらず、映像作品として世界中でこの事実を共有できる。Netflixでさらに広がってほしいな。

クラフトワークRadio Activityはベタかも知れないが個人的に好みだった。
音楽は他にシベリウス「悲しきワルツ」、エドガーヴァレーズ「暗く果てしない眠り」
(2016年1月)
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