真一

100,000年後の安全の真一のレビュー・感想・評価

100,000年後の安全(2009年製作の映画)
3.7
 「10万年経過しないと死なないクリーチャー👾」なんて、B級SFホラー映画でも、さすがにお目にかかれないと思っていたが、実際に存在するのです。各国の政府機関や研究所に恐れられ、無数の金属カプセル🧴に封印されたクリーチャー👾が。近づいた人間の体内を放射線で破壊しつくすクリーチャーの名は「高レベル放射性廃棄物☠️」。本作品は、深度500メートルの地底にクリーチャー保管施設「オンカロ」☢️を建設している北欧フィンランド🇫🇮にピントを合わせた、貴重なドキュメンタリー作品🎬️です。

 10万年もの間、私たち人類は、世界各地の原発☢️から排泄されたクリーチャー👾を保管施設に閉じ込めておくことができるのだろうか。大災害🌀や戦争💥をきっかけに、未来の世代が禁断の扉🚪を開けてしまう恐れはないのか―。本作品では、こうした質問に対し、計画に携わる企業幹部、当局者、研究者ら👥が悩みながら答えるシーンが続く。建設中の「オンカロ」☢️がどのように国の安全基準を満たしているかについて、彼ら👥は流ちょうに説明する。でも「オンカロが10万年後も安全だと言える根拠」に問いが及ぶと、しどろもどろになる。当然だ。100年後の未来🌎️でさえ想像するのが難しいのに、10万年後の未来世界🪐の安全を論じる能力や資格が、今の私たちにあるはずがない(笑)

 興味深かったのは、施設関係者👥の間で起きている議論だ。ある人は「地下に恐ろしい物体💀が封印されているというメッセージを、10万年後の人類👧👦に残すべきだ。これは、今を生きる私たちの責任ではないか」と訴える。だが、別の人は「人間は野心と好奇心に満ちた生き物😈だ。未来の人類が10万年前の古代標識を見つければ、興味を刺激し、かえって掘り起こされるリスクが高まる。記憶から恐怖の存在が消去されるよう、地表に痕跡を残さない方がいい」と主張する。議論は、平行線をたどったままだ。
 
 「10万年後」が、現在からいかに遠く離れた未来かということは、10万年前を考えてみれば分かる。10万年前と言えば、クロマニヨン人🧔より古い、旧人類のネアンデルタール人🐵が大地を闊歩していた時代だ。つまり、10万年後の未来世代👧👦にとって、私たちが保管施設☢️の地上に残した「近づくな、危険❗」標識は、ネアンデルタール人🐵の遺骨🦴や石器🪓そのものになる。ある人のコメントが秀逸だった。「その時代になると、私たちの子孫👶は人類かどうかも分からない。別の生物👽️に進化しているかもしれないし…」

 ちなみにフィンランド国会🇫🇮は、当面の措置として、オンカロ☢️に関するデータ📃を後世に引き継ぐ責務を政府に負わせる法案を成立させたという。それが「10万年後」まで念頭に置いた取り組みかどうかは、当局者👤も定かではないようだ。ただ、フィンランド🇫🇮が「高レベル放射性廃棄物☠️」をどう封じ込めるかという問題に、真剣に向き合い、未来🌎️に責任を持とうと取り組んでいることは、よく分かった。

 翻って日本🇯🇵はどうか。政府🏢と電力会社⚡は、最終処分地がないにもかかわらず、原発☢️を再稼働させ、使用済み核燃料☠️という名のクリーチャーを続々と生み出している。島根原発☢️で発生したクリーチャー👾の置き場に困った中国電力が「仮住まい」(中間貯蔵)という名目で山口県上関町に連れ込もうとして大騒ぎになっているのは、周知の事実だ。既に生み出されたクリーチャー👾をどう処分するか。日本も腹を据えて結論を出さなければいけない時期にさしかかっているのではないかと、本作品を見て感じました。
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