ナミモト

秘密と嘘のナミモトのレビュー・感想・評価

秘密と嘘(1996年製作の映画)
3.7
50代の…家族や親戚関係の…辛さ…
困ったおばさん、困ったおじさんの描き方が、辛辣なまでにリアルで、脚本の凄さを感じました。
更年期の女性や、ルサンチマンを抱える男性の不安定さは、ありのままを描いていますが笑、なんでしょう…そうであるからこその共感を引き寄せる力が強い。

シンシアお母さんすごいですよね笑。甘い声で語尾に「スウィートハート」や「ダーリン」なんて。けっこう天然な部分が、若い頃は男性にモテたんだろうな…と予測させながらのチェーンスモーカー笑。
でも、彼女の不器用なまでに感情的な気持ちの昂りが、大きくこの家族の関係を動かしていくのは見応えありました。誕生日のシーンなんて、なかでも最高。

実母と捨てざるを得なかった娘との再会から始まる新たな人と人とのつながりが築かれていく過程がよかったです。
結婚をしなかった、あるいは、結婚をしないことを選んだ女性や、結婚はしたけれども子供を授かれなかった女性の当事者同士だからこその連帯やぶつかり合う気持ち。人間関係の気持ちの機微が、すばらしかったなぁ…と。家族になるって、単に、血が繋がっているとか、一緒に過ごした時間の長さとか、そういう条件だけでは家族にはなれなくて、相手の秘密や嘘をどれだけ許せるのかという事が、親密さなのかな、と。

あと、ピーコックグリーン。シンシアの家や、シンシアの弟の家やフォトスタジオに塗られたピーコックグリーンがとても綺麗でよかった…。
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