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シシリーの黒い霧のmhのレビュー・感想・評価

シシリーの黒い霧(1962年製作の映画)
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「シシリアン(1987)」と同じく、サルバドーレ・ジュリアーノ伝と思いきや、構成に凝ったハイコンセプトなポリティカルサスペンス。
あれこれぐぐって二回目を見てようやく話を理解した。
フレームストーリーは1950年のジュリアーノ殺害現場からの法廷。
過去回想という形でシチリア独立運動や、メーデーの虐殺を描いている。
民に慕われているいっぽうで、警察が彼らを頼ったというかたちで警察と癒着してる。マフィアと憲兵とは対立しており、それぞれがそれぞれの思惑で動いている。
肝心のサルバドーレ・ジュリアーノは死体でしか登場しない。「ゴトーを待ちながら」と似たような評論家大好きテンプレートを採用している。
過去にもどったんなら出てくるだろうと主人公の姿を求る観客の視線は、スクリーンを上滑りしたままだ。
というわけで、そもそものサルバドーレ・ジュリアーノを知っててもなかなか理解が難しい。
終盤の鍵を握る人物は片腕ピショッタ。重要な証言を引き出す前に、毒殺されるというシニカルエンド。
先に「シシリアン(1987)」を見てから臨むべきだと思った。いやおれはそうしたんだけどね。これはとにかく難しかった。
忖度は必要だけど、それさえいとわなければ面白い。
mh

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