菩薩

シシリーの黒い霧の菩薩のレビュー・感想・評価

シシリーの黒い霧(1962年製作の映画)
3.8
かたや英雄、かたや極悪人の死の真相に迫ると見せかけて、徐々に明らかにされて行くのは、その背後に蠢く陰謀・癒着・裏切りの構図。搾取と消費からの解放の為にと、一度は同じ方向に目を向け共闘を図ろうとも、それを獲得した後にはまた新たな搾取と消費の構図が形成され、その末端の者達は容易に足きりされて行くのは世の常、歴史は常に勝者によって、何より生き残った者達に寄って更新されて行く。社会の上澄みの部分を保つ為に、灰汁の様に(悪とかけてる)排除されて行く者達、面の社会と裏の社会、細かな所に目をやるのでは無く、全てを俯瞰で見渡す事により、文字通りシチリア島を覆う黒い霧と暗躍する影の姿が明らかとなる。
菩薩

菩薩