真鍋新一

赤い夕陽の渡り鳥の真鍋新一のレビュー・感想・評価

赤い夕陽の渡り鳥(1960年製作の映画)
3.3
白木マリが特に素晴らしい回。
今回は冒頭から登場して、大きなショットガンを抱えてならず者たちから牧場を守っている。

渡り鳥シリーズがアメリカの西部劇を日本風にやっている…という前提に加え、今回は浅丘ルリ子の誕生日会の場面でついに西部劇名物・ダンスパーティーが開かれる。ドリフがカントリー&ウエスタンの真面目なバンドだった頃のヴォーカリスト・井上ひろしが出てきて歌うおまけ付き。

その中心でハツラツと踊るのが白木マリ。いつものねっとり踊るキャバレーのダンサーではない。今回はなんだか妙だぞ…と思いながら観ていると、それにはちゃんと仕掛けがある。光と影、白と黒、太陽と月、喩えはなんでもいいのだが、浅丘ルリ子と対照的なもうひとりのヒロイン・白木マリの魅力がよく描かれている。

なにもスターはアキラだけではない。白木マリも、宍戸錠と、浅丘ルリ子も、画面に向かって「いよっ!」と思わず声をかけたくなる演出が何度もある。当時、映画館で映画の途中に拍手が起こる雰囲気がなんだかわかるような気がした。

アキラが「会津磐梯山」を歌うまでのスムーズな流れは完全にミュージカル。日活のスタッフは、ハリウッドの娯楽映画をお手本にやってやろうというその思惑を隠そうともしない。最高だ。ただし終盤の展開はちょっと雑。

毎回言っているが、浅丘ルリ子の服がすべてかわいい。小林旭の本によると、いい匂いがしていたらしい。そうだろうなと思う。
真鍋新一

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