デニロ

断絶のデニロのレビュー・感想・評価

断絶(1971年製作の映画)
3.5
1971年製作。原作ウィル・コリー。脚色ルディ・ワーリッツァー、ウィル・コリー。監督モンテ・ヘルマン。

1975年に文芸坐で『ファイブ・イージー・ピーセス』と一緒に観た記録がある。共にストーリーは全く覚えていないのだが、本作の少女が“I can’t get no satisfaction”と歌っているのと、ラストのフィルムが溶けていくシーンはずーっと覚えていた。尤も、少女はストーンズの歌をずっと口ずさんでいたような気がしていたが、“I can’t get no satisfaction”はその頃のわたしだったのかもしれない。

流石自動車の国アメリカ。ストリートレースというのがあるようで、エンジン自慢があちこち徘徊してこれぞという相手に賭けレースを挑む。勿論勝てそうな相手を選ぶわけだが、その辺りは虚々実々の駆け引きがあるのです。そして町の外れでレースを行います。本作はそんなことをあてどなく繰り返すドライバーとメカニックに、G.T.Oと名乗る(車の名前らしい)中年の男と、これもあてどないヒッチハイカー/ガールが絡みます。

徐々にガールを巡って男たちの鞘当が始まるのですが、もはやなんだかわかりません。あてどない人々ですものいつまでも同じ気持ちを保つわけではありません。ガールは唐突に車を乗り換え、荷物をも放り出してすれ違った男のバイクにまたがって行ってしまいます。

原題は、Two-Lane Blacktop。何か深い意味があるのだろうか。音楽はカー・ステレオとジュークボックスから流れるだけ。それ故か少ない台詞が際立ちます。

断絶。テレビや新聞やSNSで語られる政治経済世界と私が実際に生きる世界は断絶していると思うけれど、そんなことを思わせる作品です。そんな世の中に自己責任を負えなんていわれる筋合いはありません。

映画館ストレンジャー モンテ・ヘルマン『断絶』+バーバラ・ローデン『WANDA』 にて
デニロ

デニロ