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ヴァージン・スーサイズのkuuのレビュー・感想・評価

ヴァージン・スーサイズ(1999年製作の映画)
4.0
『ヴァージン・スーサイズ』
原題The Virgin Suicides
製作年1999年。上映時間98分。

ソフィア・コッポラ監督作品だが、
この作品を発表したとき、彼女はあのフランシス・フォード・コッポラの愛娘として紹介された。
七光りちゃうん?みたいな好奇の眼差しに曝された。
せや、今じゃ世間の評判を見事に覆してるんは周知の事実。
ポップな映像で重厚な内容、観たモンにかなり重い印象を残すソフィア・コッポラ作品。

原作はジェフリー・ユージェニデスのデビュー小説(邦題は『ヘビトンボの季節に自殺した五人姉妹』)で。
93年に出版の、この小説にソフィア監督はズキュンと惚れてしまい、著作権もないままに脚本を書き上げたらしい。
その出来は観てたしかて欲しいです。
まぁ著作権を所有しとる映画会社が監督を任せた位い彼らには上出来やったんやろし、烏滸がましいけど、小生も大変、面白く観れましたよ。
扨、今作品ですが、小生には単純な内容じゃないと思います。
黄門さんの印籠見せてパパっと了解出来る勧善懲悪モンでもなく、
反対~ぃ反対の反戦を声高に主張する作品でもあらへん。
少年・少女期に多くの人が持つ感傷と高揚感って云うんかな、悲劇を題材にして、その曖昧模糊な何かを描き出してる。
物語は、以前に起きた5人姉妹の自殺(スーサイド)をめぐる記憶が話のプロットで、
1970年代半ばのミシガン州、 白人郊外住宅街が舞台。
郊外住宅街とはいっても、コロニアル様式( 建物は正面にポーチがつき、大きな窓やベランダがある。 アメリカなどではおもに木造で、板を横に張った壁が特徴的)の住宅のエリア。
敬虔なカトリックのリスボン夫妻の五人の娘が主人公。
父ちゃんは、彼女たちの学校の数学教師であり、母ちゃんは大らかだが厳し い専業主婦。
ティーンエージャーの娘たちは
セシリア、
ラックス、
ボニー、
メアリー、
テレサ。
末っ子のセシリアが13歳で長女のテレサが17歳。
全員年子。
セシリアの『自殺未遂と事故死』と、高校の人気者トリップとラックスの恋のブレイクハートを中心にして、姉妹の自殺事件が起こるまでの過程を描いてる。
スローや光の具合とかを駆使して少年少女の世界観の構築と、70年代ポップ感と共に主人公らの純粋性の描き出てるって感じたかな。
徹底してるポップさは、物語で起こる悲しみに無頓着じゃないかちゅう誤解と表裏一体やと思う。
せや、それは感情を出するための逆説的な手法でもある。
大きな物語よりも
一瞬の刹那に、木漏れ日に本質を見いだす。
携帯電話やネットの普及が本格化した九〇年代。
教え論そうとする何かが瓦解してゆく感覚をこの映画を通して感じることが できる作品かな。
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