大道幸之丞

ヴァージン・スーサイズの大道幸之丞のネタバレレビュー・内容・結末

ヴァージン・スーサイズ(1999年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

ソフィア・コッポラの初監督作品と聞いて「自分の手に負える映画だろうか」とやや身構えた。

バンド名に採用されてしまいそうなタイトルだ。

脚本も彼女とエンドロールにあったが、原作はあって『ヘビトンボの季節に自殺した五人姉妹』(ジェフリー・ユージェニデス)がそれに当たる。

フランスのバンド、エール(Air)の曲が全体にフィーチャーされてミステリアスな印象を掻き立てる。

1970年代のミシガン州が舞台。リスボン家を背景にしており、13歳から17歳のすべて年子でブロンドの美人5人姉妹。しかし末っ子のセシリアがまず自ら命を絶つ。

ソフィアの美学なのだと思うが、ブロンドヘアの姉妹が5人室内にいると室内全部が内装と呼応してパステルカラーに輝き美しい。それを意図的に演出している。

あくまで青春譚であり、理論建ててこの映画を紐解く事にあまり意味は感じない。誰にでも経験のある不安定な10代の心のゆらめきや繊細さがそこにあり、当然こんな姉妹を抱える教員夫婦は取り囲む誘惑にヤキモキする。しかし父親ロナルド・リスボン(ジェームズ・ウッズ)はなるべく自由にさせてあげたいと考えている。

そもそもが「なぜ5人は自ら命を絶たねばならなかったのか」を突き詰めて何か答えが出るものでもないだろう。感覚的に身を委ねて観るのが正解に思える。

今やスパイダーマンなどで大活躍している大女優キルスティン・ダンストが17才で14才のラックス役を演じているが、これはソフィアの慧眼と言えるかもしれない。

「必ず観ておかなくてはいけない映画」だと思った。