けーはち

エンゼル・ハートのけーはちのレビュー・感想・評価

エンゼル・ハート(1987年製作の映画)
3.8
謎の紳士デ・ニーロの依頼で男を捜す私立探偵が行く先々で奇妙な殺人に遭遇する。当時天下のセックスシンボル、ミッキー・ロークの男の色気ムンムン、ハードボイルド探偵のノワールな雰囲気からのオカルト超展開は狐につままれたような気分だが、Angelという主人公の名など宗教臭さは最初からあり、舞台がルイジアナに移ってからは黒人が多数の異文化+田舎怖い系+ブードゥー教の黒魔術テイスト香る、いわゆる南部ゴシックな怪しさがマシマシとなり結果的に「信頼できない語り手」が自身の闇に堕ちるサイコホラー作品の嚆矢と言えるか。当時人気のシットコム「コスビー・ショー」に出ていた子役リサ・ボネットを相手にした過激な濡れ場(文字通り雨と血がドバドバ落ちてくる)があり背徳の極み。陰惨な中に耽美な画面がキマッたデカダンな作風で、ほぼ白黒になるエレベーターのシーンや、冒頭黒い闇の中に鮮血の赤が差し込まれるコントラストも美しい。