Automne

血は渇いてるのAutomneのレビュー・感想・評価

血は渇いてる(1960年製作の映画)
3.7
大衆心理とメディアに踊らされゆく狂言自殺した男の物語。
祭り上げられる→堕とされるという古来からのマスコミの流れを反映、時代性としては労働者会議や右翼の弾丸、車や豊かになり始めた東京の香りがした。
"現代"というワードが逐一出現していて、近現代から現代への移行期、その狭間の空気感を味わえたのは良かった◎
扱っているテーマなどはわりかしベタな感じではあるけれど、ポップな感もあるし、63年前だとしたらかなり当時の最先端の筋書きだったのでは。
わざとか分からないカットのつなぎのムラが結構あって、手持ちのような揺れるカットと相まって独特の風味がある。
ゆりあんが物真似してる昭和の映画女優みたいな喋り方をみんながやってるのでそれもポイント高いです。白黒であるだけあって陰影も良かった。
この時代の銀座らへんの浮ついた空気感は嫌いじゃない。
豊田商事会長刺殺事件とか、シージャック事件とか、日大ギャング事件とか、どれも年代はかぶってないけど同じ香りがする。こういう古代ではないし現代でもないけどほどほどに時代を感じて人間のグロさが出てるような事件は結構好き。人間の抑えきれない臭さというか、鬱々としていてそれでも何か火花がはじけるあの感じ。
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