きんぽうげ

Holeのきんぽうげのネタバレレビュー・内容・結末

Hole(1998年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

暗い内容になっているのは分かっていたが、本当に暗いのだろうか?ミュージカルを間に挟んでの変わった作り方。
グレース-チャンというスターが昔いて、その人に捧げるというコメントをいれるところを見ると、明るいのかもしれない。西暦2000年まで後7日の世界。それに過去のスターを登場させるという懐古趣味的なもの。昔は良かった的な内容。奇病が蔓延し、雨漏りのする現実世界。ひとりずつということが当然とされる空間の中での繋がりは、雨漏りのせいで空いた一つの穴。上と下とが通づる視界の拓けた穴。それがなかったら関係が進んでいくことはなかったであろう。雨漏りがするのは他人のせいにして終わっていたかもしれない。現実の自分の世界も2000年までは後98日である。荒んでいるという傾向は、近代都市では同時に進行しているはずだ。内面が酷くなっていっているのではないだろうか。そうならざるを得ないように作り上げてきたことの罪は、誰になすりつければ良いのか。救いは最後結ばれる事。二人になる事の強さか。もうカップ麺を食べないで済むのだ。
ツアイ-ミリョウはいつも、こういう空間を舞台に選ぶ。集合住宅の中の人間たち。綱渡りのような毎日を暮らしているという印象を持つ自分達にとって近未来はやはり、もう、すぐそこに来ているのかもしれない。その警鐘としてこの映画に価値を持たせても良いのではないか。ああいう状態になったら、いや、なる手前で防ぐことが自分達に課せられた仕事であるかもしれない。
しかし、あの女性の職業は何であるのかが今の疑問点である。
きんぽうげ

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