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007/トゥモロー・ネバー・ダイのtakのレビュー・感想・評価

3.5
遅々として進んでなかった007シリーズを振り返るレビュー、あと2本。今回は「トゥモロー・ネバー・ダイ」。これが公開された年に淀川長治センセイが亡くなるのだが、なんかの解説で「もう私はトゥモロー・ダイですから」と言った記憶がある。何の映画の解説だったっけ。

それはさておき。

5代目JB、ピアース・ブロスナンの第2作。従来のボンドが拳銃片手に余裕すら感じる立ち回りだったのとは違って、マシンガン抱えて疾走するアクション重視は前作同様。今回の見どころは、時代を切り取ったキャラクターやストーリーだ。

製作された1997年は香港がイギリスから中国に返還された年。そのタイミングで製作された本作の悪役は、イギリスと中国を衝突させようと画策する。戦争が金儲けの手段、と言うと武器商人を普通は思い浮かべるが、ジョナサン・プライズ演ずる悪役はメディア王。ステルス船で英国軍艦と中国戦闘機を攻撃して戦争の火種を起こし、それをいち早く報道することで一儲けを企む輩で、着眼点は確かに当世風。対立の構図も比較的シンプルなので、娯楽作としては受け入れやすいと思えた。

また、ボンドと共闘するヒロインが中国スパイというのも新しい。カンフー映画スターでもあるミシェル・ヨーがキャスティングされ、ボンドに守られてばかりの歴代ヒロインとは全く違う大活躍をみせる。手錠で繋がれたままの二人がバイクで逃走する場面もど迫力。他のヒロインじゃこんなシーンは撮れない。

ボンド映画と言えば秘密兵器の数々が魅力だが、今回は携帯からリモートコントロールできるBMWが登場。ボンドカーが4ドアサルーンだと?と昔からのファンは驚いただろう。バックシートで身を守りながら疾走させる派手なアクションシーンは見事で、これを見せたいがための車種の選択なんだろう。シェリル・クロウ好きとしては、主題歌起用が嬉しかったな。

ジェームズ・ボンドこそ男子の理想めいた偏った育て方をされた僕だが、ブロスナン=ボンドはここまで劇場鑑賞はしていなかった。されど、次作で劇場鑑賞復帰することになる。理由は…えーと、僕のレビューをあれこれ読んでる方には察しがつくに違いない💧

鑑賞記録はレンタルで観た初回を記す。その後何度か観てる気もするが、2024年4月にBS日テレの吹替版で久々に鑑賞。
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