ルサチマ

秋聲旅日記のルサチマのレビュー・感想・評価

秋聲旅日記(2003年製作の映画)
4.7
2回目 2022年12月8日 @アテネフランセ

再見した『軒下のならず者みたいに』『秋聲旅日記』に加えて念願の『海流から遠く離れて』鑑賞。久しぶりの『秋聲旅日記』はデジタルビデオによる移動撮影で溝口的に一定の距離を保ちつつ秋聲を捉えたかと思いきや、あるタイミングで秋聲を追いかけ、突き放されるという変調とそこからまた追い越すという厳格さから緩やかさへの推移が魅力的。気になるのは、人生の節目にあるお絹について語りつつ、あくまで秋聲を通したお絹のイメージが映し出されることで、2人で訪ねるジャズ喫茶でのシーンはそれまでの古典的な繋ぎを無視した大胆なカット割によって幻想性を獲得する。
勿論お絹と共に人生の節目(死期)を迎えている兄の存在もまた重要だろうが、兄とのやりとりは非接触的である(籠の中の鳥)のに対し、お絹との間でささやかなお弁当と日用品のやりとりが車の窓越しに確かに描かれていたことが感動する。中編ながら青山真治の慎ましくも見事な演出の数々に眼が喜んだ。


1回目 2019年1月14日 @東京藝大馬車道校舎

鮎食いたいよね。秋聲が去る時の奥行きに痺れた。
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