こーたろー

シザーハンズのこーたろーのレビュー・感想・評価

シザーハンズ(1990年製作の映画)
4.5
今更初鑑賞

人間になる途中で博士が死んでしまい、城に閉じこもっていたエドワードは優しい家族に受け入れられ、娘のキムと恋に落ちるが、、、といったストーリー。

いやーほんとに見て良かった。もっと早く見ておけば良かった。
エドワードを受け入れる家族が優しくて見ているだけで心が温まる。キムの彼氏やすぐに評判を聞いて群がっては消える住人達をエドワードを異物として扱う側として描いていて、エドワードがどんなことをしても家族だからと受け入れ続けるペグ達と対極に描いていることで余計に印象に強く残るようになっていた。

特に個人的に好きなシーンはエドワードが警察に逮捕され、家に帰ってからお父さんがエドワードに道徳を説くシーンだ。エドワードが揉め事を起こそうが、じゃあ次はそうならないためにどうしたらいいかと一緒に考えるシーンはまさしく本当の家族の姿であり、その場面においては血のつながりや手がハサミであることなんて全く関係なかった。 
そのシーンでエドワードはお金を拾ったらどうする?といった問いに、好きな人へプレゼントを買うといった返答をする。もちろん社会通念上は警察に届けるのが正解だし、お父さんもエドワードにそう言っていた。しかし、このシーンではずっと城に閉じこもってたため、社会のルールを知らない無知さとそれ故にこんなにも純粋な気持ちを持ってしまったエドワードといったキャラクターを上手く描写してる素敵なシーンだと感じた。

それともう一つ好きなシーンがある。これはもちろんみんな好きなシーンだと思うが、キムが私を抱きしめてとエドワードに伝えるが、それはできないと返答するシーン。この一言にエドワードの純粋さ、キムを愛する気持ち、愛していて抱きしめたいのに相手を傷つけてしまうからできないというエドワードの優しさ、全ての感情がこの一言に集約されていて本当に名シーンだなと思った。普通にエドワードの純粋な心に感動して泣いてしまった。

また、ティムバートンは寓話的な物語を作るのが上手いなと本作を見て改めて感じた。エドワードは手がハサミであるが故に関わる人を相手を傷つけてしまうが、これは映画を観ている君たちもそうだと言われているように思える。
生きている上で、人は人と関わりを持たないことはできないし、相手とのコミュニケーションを避けることはできない。しかし、関わり合いの中で言葉によって相手を傷つけてしまうなんてことは、生活していてよく起こることでもある。それはエドワードのように自分が相手を傷つける意思がなくてもだ。夜寝る前に今日、相手にこう言ったけれどもしかしたら相手を傷つけてしまったんじゃないかと考えることは誰にでもあるのではないだろうか。
そういった意味で、エドワードが城から出て住民達やペグ達と関わりを持ったことは必然的であるとも言えるし、その結果最後は城に戻ることになったとしてもエドワードの人生の中では確実に必要であり大事な瞬間であったと思う。

ティムバートン特有の鮮やかな色彩やユーモア、ジョニデの美しい顔といった点も含めて本当に素晴らしかった。来年の冬にまた見返したいと思える美しい作品。