せみ多論

シザーハンズのせみ多論のネタバレレビュー・内容・結末

シザーハンズ(1990年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

例の映画の後に見たのもあって鑑賞後の印象は良かった。
ま、それはさて置いて、本作の主人公は町のはずれのお城に住んでるエドワード君。彼は城の主であった発明家の博士によって作られた人造人間なのですが、一つだけ普通の人間と違うところがある、まさにタイトル通りシザーハンズ、両手がハサミでできていることです。人間の手を付けてもらう前に博士がこの世を去ったため、彼はこの両手で生活をしていたのです。
城の中でのみ生きてきた人造人間のエドワード君は世間の常識良識など白紙のようなもので、感性で生きている。こうした少し「変わっている」エドワード君が、ふとした経緯から、街で生活をすることになるが、どうなるかということ。

※以下から敬称略

正直途中まで展開は読めた、街の人々がやけに友好的だったので、あぁこれは後々手のひらを返され追い込まれたエドワードがどうするのか、という流れが来るのではないか。そしてその時にエドワードがどういう選択をとるのか、ここに一番注目していました。
結局のところ自分がこうなったら嫌だなと思っていた展開(町の人との蟠りもとけて結局みんなハッピーに暮らしましたとさ)にはならなかったので、胸をなでおろしました。

また、城を出たエドワードは愛というものを知る、しかしながら彼のハサミの手は、愛しき人が近づくほどに傷つけてしまう。愛するがゆえの別離という選択を取ったところは個人的には悲しいけれども、見事な演出だったと感じる。エドワードとキムが氷の彫刻を通して心を交わした、その思いを、キムがおばあちゃんになっても忘れずに持つエドワードが毎年雪の降らない街に雪を降らしているのだ、この届かぬ愛は本当に切ないがとても美しく見えた。「変わっている」彼が「普通の」街に溶け込もうとしたが叶わず、また元の世界に帰っていく。この過程で彼が得たものが雪となって毎年あらわれるというのは、なんだかとてもロマンチックですよね。

ただし、ヒロイン結構悪さしてるのに、その辺をもっとしっかりと清算したほうが良かったのでは。付き合ってた男を盛大にふっても、罪の清算にはならんでしょ。男連中や色狂いのおばさんとかの悪行がうやむやのまま終わってしまったのには納得がいかない。世間では結局悪魔の様な男だったという評価が残ったのであろう。
ただここに納得はいかないのだけれども、そういった悪魔の様な男だったという世間の見方とは、違う、真実のエドワードを知るキムだからこそ、彼女の語りは重く、その価値を増すのかもしれない。
個人的には、いい映画だな、という感想です。
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