入試にまつわる風刺劇
入試を控えた中学3年生の男の子がひょんなことから誘拐されたことから始まる物語
台湾映画を観ていれば、台湾の受験の熾烈さや競争社会の厳しさは知るところだけど、それをユーモアで笑い飛ばし、みんなの関心が誘拐から受験ができるかになってしまうアイデアが素晴らしい
夢みがちな少年は受験という現実から逃避して、熱帯魚の夢を見るが、進学という夢を見られない人たちの存在を知る、というとてもよく出来た構成
登場人物たちはみな過酷なバックグラウンドを持っているのに、そのユーモアがそう感じさせないし、とても愛すべきキャラしか出てこない
都市部と地方の生活レベルの差
貧困問題も含まれていて、台湾の“いま”を伝える社会性を具備した作品
少年の補聴器設定の登場のさせ方もさりげないし、それが現実から少し遊離している人物像に繋がっているところなんかも芸が細かい
台湾映画の奥深さを知れる作品