Jimmy

惜春のJimmyのレビュー・感想・評価

惜春(1967年製作の映画)
4.3
神保町シアターにて鑑賞。

神保町シアターの『女性脚本家の世界』で鑑賞。本作は平岩弓枝さん原作。
老舗の帯紐屋の相続を巡るドラマの中に、「女性が本当に幸せに生きるためにはどうしたらよいか?」を描いた人間ドラマ。

この映画、松竹ワイドスクリーンのカラー映画であるが、和服の「帯紐」や「帯」、奈良や京都の四季の色彩を描くには、やはりカラー映画にするのは必要不可欠であったと思う。

そんなカラー映画で、相続を巡る3人姉妹が長女(新珠三千代)、腹違いの次女&三女(香山美子、加賀まりこ)の間に波風が立つ。
そこに入り込むのが次女&三女の母親(=元お妾)の森光子。
男性では、平幹二朗・早川保などが絡むドラマとなる。

だいたい亡くなった先代の遺言が「3人姉妹のうち、この店に相応しい男性と結婚した者に家督相続する」というアバウトなので、波風が立つのだが…。
長女は仕事優先、次女はやはり財産重視?、三女は男性関係重視、と三者三様だが、本当に幸せだったのか?…は、本作を観た人なら分かるはず。

遺産相続を巡る映画は多々あるが、個人的には、山崎豊子原作&三隈監督&若尾文子・京マチ子など主演の『女系家族』が日本映画では大好きで、あのドロドロさはさすが山崎豊子原作。
その他、『東京物語』での杉村春子の形見分けのインパクトあるセリフも忘れてはならない(笑)
今日観た中村登監督の『惜春』は、『女系家族』ほどのドロドロさはないが、日本風土の美しさを描きながら、丁寧に女性心理も描いた美しい映画だった。
特に、さまざまな和服を着た新珠三千代が美しい!

中村登監督は、『愛染かつら』や『紀ノ川』など、女性映画の巨匠。
本作もさすがの手腕で、女性たちのその時その時の気持ちが良く表現されたドラマだったと思う。
Jimmy

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