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ミスター・アーサーのMaoryu002のレビュー・感想・評価

ミスター・アーサー(1981年製作の映画)
4.2
大富豪の御曹司アーサー(ダドリー・ムーア)は強制的な政略結婚を嫌い、毎晩遊び歩いていた。ある日、街でリンダ(ライザ・ミネリ)と出会い、生まれて初めての恋に悩むが、唯一信頼する執事ホブソン(ジョン・ギールグッド)が病に倒れてしまうのだった。

凝ったストーリーでも感動作でもないけど、長年大好きな映画。

金持ちプレイボーイに、貧乏で性格のいい娘、という伝統的なシチュエーションではない。
アーサーはアル中迷惑男で共感できないし、リンダは万引きするし口は悪いし、なんで一目惚れしちゃうのか分からない。ライザ・ミネリは美人ではないし…
でもツボにはまった。

執事のホブソン、運転手、花屋、リンダのパパという、地味ながらアーサーを温かく取り巻く彼らの存在と会話がとても楽しい。
それに、アーサーが金があることの楽しさをめいっぱい見せてくれるのも気持ち良かった。

言うまでもなく、この作品の肝はホブソンとアーサーの友情と親子愛なんだけど、やはりジョン・ギールグッドの重厚でコミカルな演技が効いている。
舞台だけでなく「オリエント急行殺人事件」「エレファント・マン」「炎のランナー」でも名演を見せるギールグッドが、よくこんなコメディに出たなと感心しちゃう。

主演のダドリー・ムーアもライザ・ミネリも、病やスキャンダルで理想的なハリウッドスターではなかったけれど、ちょっと不器用だったり、偉大な親の重圧に耐えたりと、なんとなく愛すべきキャラクターに感じてしまうのだ。

そして、忘れられないのがクリストファー・クロスの “ニューヨーク・シティ・セレナーデ” 。これは絶品!
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