がちゃん

ミスター・アーサーのがちゃんのレビュー・感想・評価

ミスター・アーサー(1981年製作の映画)
3.6
まず、オープニングとエンディングで流れるクリストファー・クロスの、
『ニューヨークシティセレナーデ』が最高!

何不自由のない大富豪の息子アーサー(ダドリー・ムーア)は、その莫大な財産を受け継ぐために、親の決めた親の決めた婚約者と結婚をしなくてはならなかった。
もし、その女性と結婚しなければ、アーサーは文字通り一文無しになってしまうのだ。

最高の贅沢を楽しんでいる今を手放したくない彼は、その女性と結婚することを決意するが、ある日入った洋品店でネクタイを万引きした女性リンダ(ライザ・ミネリ)と出会う。

万引きは店に発見されリンダは警察に突き出されそうになるが、アーサーは機転を利かし、彼女を救う。

そして、リンダと話をしたりしていくうちに、その表裏のない優しい性格に次第に好感を抱いていく。

後半の伏線になるのだが、彼女はとても父親思いなのだ。

しかしその恋は、リンダが労働階級の娘であることから、上流家庭の相手にはふさわしくないということで、母親は認めようとしない。

そして財産を手放したくないアーサーは、心残りのまま決められた女性との婚約を決め、結婚式の日程まで決めてしまう。
そしてリンダにそれを告げるのだ。

リンダもアーサーに好意を持っていたために、すっかり振られたと思い落ち込むのだが・・・

パターンはよくあるやつですよね。
身分の違う男女の恋。
それは男が金持ちの場合もあるし、女が金持ちの場合もある。

男が金持ちパターンは、『プリティ・ウーマン』(1990)なんかが代表的かな。

ただ『プリティー・ウーマン』と本作が違うのは、主人公のアーサーがカッコよくないこと。
しかもアル中の放蕩息子。
どういう金持ちなのかはわからないが、本人に仕事をする意欲が全くない。

社会に全くもまれていないという点でアーサーはまだ子供なのだ。
そんな子供のようなアーサーに惚れるリンダの気持ちもわかる。

そんなアーサーにいつも助言をするホブソンがいいね。
名作『炎のランナー』(1981)でいつも苦虫をかみつぶしたような表情をしていたジョン・ギールグッドが演じているんだけどとてもいい。

どちらかというと、ドタバタ演技で笑いを取ろうとするダドリー・ムーアに対してこちらは無表情の笑い。
いいですね。

病に倒れたホブソンをアーサーが見舞いに行ったときに、唯一ホブソンだけがアーサーの人間性を認めていたことがわかるシーンは名場面。
本作でアカデミー助演男優賞を受賞しています。

金持ちで不幸だったアーサーと、貧乏で幸せだったリンダ。
貧富の差で幸せは測れない・・・
都会のおとぎ話ですね。
監督の演出がもうちょっとスマートだったらもっと良かったんだけどね。

1988年に続編、2011年にはリメイクが制作されたらしいのですが、いずれも未見です。

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