たにたに

愛する時と死する時のたにたにのネタバレレビュー・内容・結末

愛する時と死する時(1958年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

【空爆】2023年15本目

第二次世界大戦時、対ロシア東部戦線。敗戦の色濃く疲弊した、ドイツ軍に従事する主人公(ジョン・ギャヴィン)。

2週間(3週間?)の休暇を得て故郷へと戻り、両親を訪ねるも空爆により荒れ果てた街並みがそこにはあった。
両親の行方を辿る中で、かかりつけの医師であるクルーゼから何か情報を得られるのではと訪ねますが、彼は反ナチスの烙印を押され収容されており、ただ娘であるエリザベートがそこにはいた。

そんな彼女と瞬く間に恋に落ちるわけですが、戦地へ再び戻るため時間もありません。自身の両親の無事と、彼女の父親の無事を互いに願いながら、二人は空爆の絶えないこの不安定な世界で結婚を決めます。

その空爆を知らせるサイレンが作品内で幾度と鳴り響き、いつ死んでもおかしくないと言う不安感を駆り立てます。

高級レストランでデートをしている時。
彼女が働く工場が空爆にあって、必死に彼女を探す姿。
結婚初夜のベッドの上で、今日ぐらい避難しないと決めた夜。

二人の愛の形が戦争によって揺さぶられているその姿に、戦時中で愛を育むことの辛さや、人間の儚さを感じることができる。

主人公はオープニングで、ゲリラと思わしき民間人を射殺し、そのことへの悔いと虚無感を強く感じていた。
愛する人が故郷にできて、人が人を殺すことへの無意味さと、ゲリラといえども皆誰かへの愛を持つ同じ人間なんだと感じて、最後のシーンでは見逃したと考えられる。

しかしそれによって、自身は命を落とすことになってしまいました。

豊かなメロドラマの中に、戦争の無意味さを説いた。

それでもやはり、最後のシーン非常に見ていて辛かった。
たにたに

たにたに