垂直落下式サミング

名探偵コナン 14番目の標的(ターゲット)の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

3.5
まだ哀ちゃんがいないころの劇場版。なんかヤバそうなやつが、刑務所から仮出所するところから始まる。コイツが毛利小五郎に恨みを持っていて…。
そらみたことかと、コナンの身近が立て続けに命を狙われるという事件が発生。被害者をトランプになぞらえた襲撃事件が連続し、探偵がこの見立て殺人の真相に挑んでいくところは、古きよき金田一少年の事件簿のテイストを踏襲している。
レギュラーメンバーの目暮警部と阿笠博士は、ハラの脂肪のおかげでボウガンが刺さっても助かる。コレステロールは防御力ってわけ。ライザップなんてするな!目暮警部の名前は十三(じゅうぞう)で、博士の名前って博士(ひろし)って言うんだ。ハカセはあだ名なんだね。僕が把握していないシリーズの色んな前提を説明してくださるから、シリーズ門外漢にやさしい。
特に、メインキャラクターなのに漠然とした知識しかなかった毛利のおっちゃんの過去が語られるのが、なかなか興味深かった。奥さんと離婚じゃなくて別居らしいとか、警察をやめた理由とか、ヘリや飛行機が苦手とか、知らなかった情報がたくさん。拳銃もうまい。柔道も強いんだってさ。でも、性根は今も昔もバカのまま。パトレイバーの後藤隊長みたいに、気が抜けてるけど実は有能みたいな人より、普通に仕事も生活もダメ男なほうが愛せる。
よかったのは、人質に向けて拳銃を撃つという象徴的なシーン。警官時代のおっちゃんの過去と、蘭を助けるためのコナンの決断というかたちで、ふたりの男の行動力がクライマックスで重なる。フロイト的には、「男が女に向けて発砲する」というのは意味深じゃないですか。コナンはラブコメですし、さもありなん。


【※】コナンくんは、ヘリコプターを操縦できるし、ハワイの射撃場で拳銃を練習したことがある。