Shion

名探偵コナン 14番目の標的(ターゲット)のShionのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

名探偵コナン映画第二弾。
コナンには不釣り合いな遺跡らしき場面、蘭の夢から始まるオープニングがドキドキさせてくれる。


メインキャラクターに妃英理が出てくるあたり、小五郎についても原作やアニメある程度掘り下げられた後であるため、映画でも満を持して格好いい小五郎が観られる。
この辺りの時代から、警官時代からどうしようもなく、とんでもないヘボ探偵と言われていたおっちゃんに設定が盛られていくw

小五郎が刑事を辞めた理由もこの映画で正史が決定。
辻弘樹の全米オープン欠場に対しても本気で責任を感じているような顔をしているし、自分の身近な人間に対して本当に良識ある善人なのだよな。
このあたりの表情だったりと、レギュラーキャラクターの細かい描写がコナンシリーズは本当に丁寧だと思う。

しかし娘からしたらとんでもない内容の話を軽々しく口にする白鳥警部はちょっと問題ある。
まだ高木刑事もレギュラー入りしておらず、白鳥のキャラもやや浮いている。

そう言えば目暮警部の帽子については後に原作で語られるが、実はこの時点では設定決まってなかったのかも知れない。
コナンはアニメや映画のオリジナル設定や細かい部分を拾って原作に逆輸入したりもするから侮れないのだ。


中盤の見せ場、ヘリコプターの緊急着陸については、完全に成功出来ないとこが良い。
これが完璧すぎると嘘くさくなりすぎる。子供たちが疑問に思わない程度のギリギリのリアリティラインを保っている。


終盤の水中での爆発シーンからラストにかけてはとにかくおっちゃんの格好良さが光るし、コナンに人工呼吸する蘭にはドキドキしてしまう。
この人工呼吸キスは今後も事あるごとにコナン映画で登場する定番ネタだ。

おっちゃんは折角格好良かったのでいっそ事件解決もおっちゃん自らやって欲しかったが……
そうなるとコナンが今作は完全に空気になるし、映画二作目でそれをやるのは尖り過ぎているか。
おっちゃんとコナンがオーバーラップするところも、犯人に「死なせはしねぇ」と啖呵を切るおっちゃんも最高に痺れる。

やはりまだまだ初期作ということで、最後は主人公が決めなきゃというバランス感覚で作られているが、今ならもう少しおっちゃんをクローズアップして作れる気がする。

小五郎の英理の料理へのコメントについても多分早く休んでほしい照れ隠しだろうw
令和の今時ではこういう不器用ツンデレみたいのは流行らないとは思うが、そこは時代性。小五郎のキャラとしてはそれで成立してる。


犯人については同情できる部分もあるが、豹変してからは身勝手の極みである。
「俺も死ぬ」と言うくらいだから、もう何もかもどうでも良くなっていたんだろうなとは思うが。
被害者たちが必ずしも悪人ではなくなんとなくいいところも描かれているがゆえに余計に犯人の悪辣さが目立つ。
ただやはり、小五郎に田舎に帰る、と語っていたときの物寂しい雰囲気も合わせると、味覚障害という最後の一手がなければ、善人のままでいられた人なのだろうとも思う。


コナン映画恒例の阿笠博士のクイズはまだ未登場。
今回はなんと光彦が担当している!
こうして少しずつフォーマットが固まりつつあるのが観られるのも、再見の楽しみ方だ。
Shion

Shion