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朧夜の女のseapony3000のレビュー・感想・評価

朧夜の女(1936年製作の映画)
5.0
わかいふたりのメロドラマとなるかと思いきや、周りの大人たちの物語も際立ち、いわゆる"墓場まで持っていく嘘"、お調子者でいい加減な旦那の坂本武が泣かす。着物の女給のいる近代的なバーからデパートの屋上、世間知らずの徳大寺さんと、美しい女給の飯塚敏子ができちゃうまでの鮮やかな省略。なんだかんだ人間臭くて優しい吉川満子と、他人事ならやたら寛大な飯田蝶子のふたりのキャラクターも素晴らしい。蝶子が勤める牛鍋屋で学生の宴会をチャチャっと取り仕切るシーンがまたすごくよい。「あの学生さんは飲み過ぎよ!」って指摘した先には酔っぱらいの笠智衆が。あの笠智衆は「酔っぱらい天国」の笠智衆の若い頃か?って勝手に嬉しくなる。だって助監督は渋谷実。
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