寿都

紀ノ川 花の巻・文緒の巻の寿都のレビュー・感想・評価

紀ノ川 花の巻・文緒の巻(1966年製作の映画)
4.8
山田洋次推奨の家族映画を観てみて正解だった。普遍的な美しさに優れた大作大河。紀ノ川が舞台だからほんとの大河映画。
司葉子、岩下志麻の代表作に挙げてまちがいない(他知らんけど)。圧倒される美貌のみに留まらず、少女から老け役までの演じ分けが見事で、本当にひとりの女の変化を見届けるようで深く感動した。
そして丹波哲郎の高等遊民キャラが最高。タバコを吸う以外のことをしない残念な長男もナイスキャラ。名家ブランドの継承がどれだけ困難なことか、面白く描かれている。

なによりも、たった一人の生涯の間にこれだけ時代の、価値観などの変遷があることが大変面白く不思議な感覚になる。人間界はわりと早いスピードで常に変わり続けている。特に女性の立場の変わりよう。この母娘三代シリーズを原始時代から見たい。元号って必要だなと思った。
歳を取ると、色々なことがわかるようになる。それが生きることの醍醐味なのだろう。そういう作品だった。
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