イホウジン

スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃のイホウジンのレビュー・感想・評価

3.9
政治/戦争映画の様相を呈し、いよいよオリジナル三部作を払拭する。

EP1の不毛なグダグダ感から一転、硬派な政治,戦争の描写が登場して空気が変わった。それと共にフォースと暗黒面に関する核心部分にも徐々に迫っていくような展開である。この映画の中でフォースの善悪の対比として「理性と感情」の比較が登場するが、これはそのまま民主主義と独裁主義の対比にも直結する。今作で銀河の民主制が崩壊し中央集権が始まるが、そのプロセスが極めて“民主”的なのが皮肉である。
そしてまた興味深かったのがアナキンの為人である。アナキンのパートはいよいよオリジナル三部作へ繋がる場面も随所に登場し本格的にスターウォーズが一つの筋を作り始めるが、なにより考えるべきなのはアナキンの言動である。良く言えば好きな人や家族に対して一途(この点はルークも同様)だが、その一方で独裁を容認したりジェノサイドを繰り広げたり、独善の極みのような行いもしている。ここからいかに暗黒面へ完堕ちするのかはまだ分からないが、人間の善悪の曖昧さとその暴走というテーマをスターウォーズに取り入れたのはとても注目すべきことであろう。
戦闘パートも終盤になって増えとても楽しかった。ヨーダが元気でなにより。

EP1とEP2の整合性の悪さが少し気になる。アナキンとパドメの恋愛もよくよく考えてみるとけっこうな年の差で少し気持ち悪いし、描写も割と雑である。アナキンのオビワンへの反抗も、どこに起因したものなのかがいまいち分からなかった。

本当はもっとスコアを上げたいが、EP3への期待を込めて控えめなスコアで。
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