せみ多論

少林サッカーのせみ多論のレビュー・感想・評価

少林サッカー(2001年製作の映画)
4.0
全ての人にとは言えないですが、カンフー映画や拳法ものを観る際に心の何処かに、例えば老師であるとか、脈々と続いてきた武術であるとか、また伝統の技なんかに対する憧れや畏敬の念があると思う。上手く言えないけれども、合理的な技術体系とは違った、少し泥臭いようななかで守られ磨かれてきた世界に対する、『なんか理屈は抜きにして凄い!』みたいな感情。
そういうものに対して嫌悪感がなく楽しめるのであれば、お勧めできる作品。

おバカなギャグと織り交ぜてシリアスなシーンを入れてくる、それがカッコ悪い様ですごくカッコよくて、笑えるようでホロリときてしまう。とても不思議な気持ちにさせられた。

兄弟子たちの覚醒シーンなんか、いきなりそこだけ見たら絶対笑ってしまうようなシーンなのに、最初から見ていてそこに来るとゾクっとくるようなイイシーンに見える。この笑いとシリアスさの絶妙なバランスがたまりません。

話は王道で、冒頭シーンと繋がったラストシーンも、ほんやりと素敵。ヴィッキー・チャオが凄くチャーミングなのにまともな格好してるシーンがほとんどないのもニクいと言えばニクいですね。
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