うにたべたい

怪獣ゴルゴのうにたべたいのレビュー・感想・評価

怪獣ゴルゴ(1959年製作の映画)
4.1
珍しいイギリスの特撮怪獣映画。
監督は、ゴジラの誕生に強く影響を与えた"原子怪獣現わる"と同じのユージン・ルーリー監督です。

噴火の影響で太古の怪獣「オグラ」が復活する。
現地の考古学教授に依頼され、これを捕獲したジョーとサムの二人は、怪獣を金払いのいいロンドンのサーカスに売り払う。
怪獣は「ゴルゴ」と名付けられるが、実はこのゴルゴは子供の怪獣だということが判明し、というストーリーで、攫われた子供の怪獣を助けに、親ゴルゴがロンドンに現れる展開となっています。
非常に王道展開のわかりやすいシンプルな内容で、80分程度と短いこともあってかテンポがよく、古い映画なのですが最後まで中弛み無く楽しめました。

作中には親ゴルゴと子ゴルゴが現れます。
日活のガッパが本作にインスパイアされたと聞いてましたが、ストーリーはガッパそのままでした。
ただ、ガッパは守護心神として崇められ、どちらかというと人類にとって友好的な存在として表現されていましたが、ゴルゴは災害に近い印象がありました。
ロンドンに到達したゴルゴは、ロンドン橋を落とし、ビック・ベンを瓦礫にして、逃げ惑う人々を容赦なく潰してゆくのですが、怒りのようなものは感じられず、単に邪魔だから破壊した感じがしました。
人間の必死の攻撃も意に介さず進撃する姿は、まさに脅威、畏怖の対象としての怪獣然としていて素晴らしかったです。
ラストも何となくいい話にしてしまったガッパよりも、ドライに終わった本作の方が良かったです。

個人的には良作ですが、見方を変えると人間ドラマが希薄で、欲を出してこの事態を招いたジョーとサムへの制裁的なものもないため、物語に深みが感じられないと受け取ることもできます。
よって、ストーリーは好き好きとなると思いますが、怪獣映画としては大変満足なできと思いました。