うどん

フルメタル・ジャケットのうどんのレビュー・感想・評価

フルメタル・ジャケット(1987年製作の映画)
3.8
"ほほえみデブ"が気になり、鑑賞。

陽気じゃない狂気の戦争

とんねるずの「細かすぎて伝わらないモノマネ選手権」という番組をご存知でしょうか。私は好きで見逃さないようにしているのですが、以前その番組で"ほほえみデブ"を披露している方がいました。思わず笑ってしまい、どんな作品か見たくなった、という次第です。

まず、キャストに関して。
主人公"ジョーカー"を演じた俳優さんが、「ダークナイト ライジング」にて市警本部長を演じた方で、あまりの若さに驚き!そして、"ほほえみデブ"ことレナードを演じた方は、「ジュラシック・ワールド」でラプトルを利用しようとしてラプトルに殺されたオジサンで、若いっ!
と、知った顔の俳優さんたちにしみじみ。

前半と後半で舞台は変わるが、前半の教官のしごきが凄い。新兵たちの人となりを否定するような、暴言の数々を大声でずっと怒鳴り散らす姿が凄まじい。そうやって、兵士たちの精神を追い込んでいくのだろうけど、鑑賞者の精神も試しているようだった。ジョーカーに懐くレナードがかわいかった分、皆に恨まれて陰でいじめられ、教官に追い込まれていく様がとてもつらかった。それもあってのアノ目つきや姿は、モノマネも吹っ飛ぶ迫真さで、怖くてハラハラした。

後半は、雰囲気が変わるが、全体的に「誰も全容がわからない」という印象を受けた。兵士たちへのインタビューシーンは戦争の実体を上手く描いているなあと思った。見えないスナイパーとの戦い、その正体、主人公の葛藤とスナイパーの言葉…の流れは、見ていて苦しかった。陰に包まれながら葛藤する主人公は、それまでの陽気さや勢いを失って別人になっていく様だった。
ラストのミッキーマウスの歌は、なんじゃありゃー。メロディーは陽気だけど、闇夜を歩く兵士たちの姿や戦場の光景からして、今後の行き着く先の不透明さが感じられて、もはや狂気の中の行進マーチのようだった。
うどん

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