GT

フルメタル・ジャケットのGTのネタバレレビュー・内容・結末

フルメタル・ジャケット(1987年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

 スタンリー・キューブリック監督が送る、言わずと知れた戦争映画の傑作。超久しぶり鑑賞。
 前半は鬼教官ハートマン軍曹にシゴかれる新兵たちを、後半はベトナム戦争下における狂気を描く。
 前半の主役であるハートマン軍曹は超有名だ。ニコニコ動画なんかでも、一時期嘘字幕なんかで流行っていた記憶がある。「ウチに来て妹をファックしていい」「貴様らは聳え立つクソだ」などの、数々の名罵倒を産み出した点で伝説級のキャラクターだ。そのシゴきは過酷で容赦がないが、台詞が妙にウィットに効いており、見ているぶんにはすごく面白い。この辺、「アメリカ」を感じる。度を超えたシゴきに耐えかねた「ほほえみデブ」ことレナードがハートマンを撃ち殺すところで、前半が終了する。
 前半は正直コメディ的な側面が強かったが、後半は戦争中の狂気が強調される。敵兵の死体と一緒に写真を撮ったり、「よく女子供を撃てるな」という質問に対し「ノロいからな」と言い放ったりと、ぶっ壊れた倫理観が次々と披露される。「フルメタルジャケットは後半がつまらない」という評をたまに耳にするが、確かにダレるというか、面白みにかけることは確かだ。だが、戦争が如何に人を狂わせるか、如何に過酷なものなのかは、後半を見なければ分からないことだろう。それを端的に示すのが最後のシーンだ。「ミッキーマウスマーチ」を歌いながら銃を持って行進する光景の異様さは、直接的な殺戮シーンなんかよりもよっぽど恐ろしく、狂っている。
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