幌舞さば緒

フルメタル・ジャケットの幌舞さば緒のネタバレレビュー・内容・結末

フルメタル・ジャケット(1987年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

Paint It Black 弾丸は人間を獣へと変えてしまう。喜怒哀楽といった人間のあらゆる感情、性欲、肉体、物、ありとあらゆるすべてが爆発してしまう恐ろしい世界。でもこの〝クソ地獄〟こそが〝男性有利の世界〟に近い状況なのかもしれない。そして、ストーリー前半の伏線を回収するかの如く訪れる胸糞なクライマックス…。市川崑監督の【野火】や原一男監督の【ゆきゆきて、神軍】では食糧不足で兵士が人肉食を行うことが描かれてるし、本物の戦争は戦争映画の数倍〝クソ地獄〟に違いない。ダナン海兵隊基地の宿舎での会話の中で「激戦の記憶は重い。奴は実戦の経験ねえよ。第一〝あの目つき〟がない。1000ミリ望遠の目つき。長くクソ地獄にハマったときの、マジにあの世まで見通す目さ。実戦を体験すると皆そうなる」という台詞があって多分、ストーリー前半でのメインキャラだったレナード(微笑みデブ)は新兵訓練所にいる段階でそれに近い状態に仕上がってしまったんだと思う。チームスポーツや運動経験が乏しかったであろう彼にとって海兵隊の訓練キャンプがすでに〝クソ地獄〟で野生的な感が働くようになってしまい、他の訓練生よりも先に獣に変わり果ててしまったのだろう。


台詞メモ

「貴様ら雌豚が俺の訓練に生き残れたら各人が兵器となる。戦争に祈りを捧げる死の司祭だ。その日まではウジ虫だ!地球で最下等の生命体だ。貴様らは人間ではない。両生動物のクソをかき集めた値打ちしかない!貴様らは厳しい俺を嫌う。だが憎めばそれだけ学ぶ。俺は厳しいのが公平だ。人種差別は許さん。黒豚、ユダ豚、イタ豚を俺は見下さん。すべて平等に価値がない!俺の使命は役立たずを刈り取ることだ。愛する海兵隊の害虫を!分かったか、ウジ虫!」

「本日よりスノーボールと呼ぶ。いい名だろ?聞いて驚くなスノーボール、うちの食堂では黒んぼ定食は出さん!」

合衆国海兵隊の新兵訓練基地、タフ気取りとアホ勇者用の8週間制学院

「ホー・チ・ミンはろくでなし♪梅毒、毛ジラミばら撒く浮気者♪」

「今夜、貴様らイモは銃を抱く。各自、銃を女名前で呼べ。貴様らが遊べるプッシーちゃんはこれだけだ。潮吹き女王メリーを指で昇天させたピンク・パンティ越しの冒険は終わりだ。貴様らの女房は鉄と木でできた武器だ。浮気は許さん!」

「これぞ我が銃。銃は数あれど我がものは一つ。これぞ我が最良の友、我が命。我、銃を制すなり我が命を制す如く、我なくて銃は役立たず、銃なくて我役立たず。的確に銃を撃つなり、我を殺さんとする敵よりも勇猛に撃つなり。撃たれる前に必ず撃つなり。神かけて我これに誓う。我と我が銃は祖国を守護する者なり。我らは敵に征服者、我が命には救世主。敵が滅び平和が来るその日までかくあるべし。アーメン」

「お休み、お嬢様」

「これぞ我が銃、こっちは我が大砲。銃で戦いこっちで楽しむ」

「10秒だ。どアホ!この障害物は10秒でやっつけろ。チンタラするな!貴様ら全員が10秒でやっつけるまでフニャマラは誰一人卒業させん!」

「上でアソコが待ってりゃ登るだろこの野郎」

「早く登れ、肉布団。モタモタすんなデブ。じじいのファックの方がまだ気合いが入ってる!早く来い!のろま、動け!どうでもいいがデブ、落ちるなよ!これ以上迷惑かけるな!さっさと乗り越えろ!何のんびり待ってんだデブ!動け!ケツまくる気か貴様!答えろ!せいうちのケツにド頭突っ込んで死ね!おれの障害物から離れろ!やめちまえ!さっはと降りろグズ!タマ切り取ってグズの家系を断ってやる!とことん鍛え直すぞ!人食い族の巨根が粗チンになろうとも」

「シャッキリしろデブ!早くカタつけろ!スキンのまま生まれたクソバカかデブ!努力してこうなったのか?早く走れ!後れをとるな!ベトナムへ行く前に戦争が終わっちまうぞアホ!走れ!死ぬか?おれのせいで死ぬつもりか?さっさと死ね!走れ!後れをとるな!急げ急げ!目が回るか?倒れそうか?要するにおっ立っちまったわけだ」

「トロトロするな雌豚め!ケツ振れ腕振れ!」

「起きろ起きろ起きろ!マスかきやめ、パンツ上げ!」

「ジョーカーは脳なしだが根性がある。海兵向きだ。母の会を続けろ」

「地上で最強の武器は海兵だ。彼のライフルだ。戦場で生き残りたいと思うなら殺戮本能を研ぎ澄ます事だ。ライフルは道具に過ぎん。殺しは鉄の心臓がやる。殺戮本能が純粋さと強烈さに欠けると真実の瞬間に後れをとる。殺さずホトケの海兵になっちまう。惨めなクソ地獄に堕ちる!海兵隊員は許可なく死ぬ事を許されない。分かったかウジ虫」

「アンクル・サム(アメリカ政府を擬人化したキャラ)が大好きな♪おれが誰だか教えてよ♪合衆国の海兵隊♪おれの愛する海兵隊♪おれの軍隊♪合衆国の海兵隊♪我らの軍隊♪海兵隊♪人から聞いた話では♪」

「おい、何だこれは。何故鍵をかけんのか!俺がこの世でただ一つ我慢ができんのは鍵を掛け忘れた小型トランクだ!貴様のような肉棒頭のせいで泥棒が蔓延る!」

「デブ二等兵は自分の名誉を汚し、小隊の名誉を汚した。俺の努力は無駄だった。貴様らが助けなかったからだ。デブが性根を入れ替えるために貴様らは何をした?これからはデブがバカをやっても奴に罰を与えない!貴様ら全員を罰する!ということはお嬢様共!ドーナツの罰は貴様らだ!腕立ての姿勢!口を開け!奴らに感謝してじっくり味わえ!」

「豚娘は海兵隊を愛してるか?」「センパーファイ(生涯忠誠)!命懸けて!ガンホー(闘魂)!ガンホー!ガンホー!」「俺たちの商売は?」「キル(殺し)!キル!キル!」「大声だせ!」「キル!キル!キル!」「ふざけるな!大声絞り出せ!」「キル!キル!キル!」

「チャールズ・ホイットマンを知ってるか?どのアホも知らんだと?」「オースチン市の塔から大勢狙撃した男です」「その通り。殺したのは12人、テキサス大学展望塔の28階から70メートルの距離でな。リー・H・オズワルドなら知ってるな?スノーボール」「ケネディを狙撃しました。撃った距離を知ってるか?」「すげえ遠く本の車庫ビルからでした」「約76メートル離れて動く標的を撃った。イタリア製の古いライフルで3発。6秒間で2発命中、1発が頭部。奴らは何処で狙撃を覚えたと思う?ジョーカー」「海兵隊です」「海兵隊である!凄い!目的を持った海兵と銃で何ができるか証明したんだ。貴様ら豚娘もここを出るまでにそれだけの技術を身につけるだろう」

「本日はクリスマスだ。0930時に特別礼拝が行われる。牧師の話というのはいかに自由世界が共産主義を席巻するかである。神と一握りの海兵の手助けで神は海兵に興奮し硬マラとなる。俺たちが手当たり次第殺しまくるから神には神の遊び方があり、我々は我々で遊ぶ。神に授けられた力への謝意を表すために我々は新鮮な魂を絶えず天国へ送り届ける。海兵隊より早く神はこの世にあった。心はジーザスに捧げてもよい。だが、貴様らのケツは海兵隊のものだ。分かったか豚娘ども!」

「汚れスキンのザーメン顔が!根性直しの(腕立て)25回!」

「デブ、今や貴様は強靭に生まれ変わった。我が愛する海兵隊の特級射手に選んでもいい」

「スカした美少女もう要らない♪俺の彼女はM14♪もしも戦闘で倒れたら♪棺に入って帰還する♪胸に勲章飾り付け♪ママに告げてよ見事な散り様♪」

「30-92小隊の新兵は全員鍛え上げられ自分の腹ワタを食う覇気に満ちていた。教官たちは誇らしげに巣立つ荒鷲たちを見ていた。海兵隊はロボットを求めない。海兵隊は殺戮者を求める。海兵隊は不死身の男たちを作ろうとする。恐れに無知な男たちを」

「本日をもって貴様らはウジ虫を卒業する。本日から貴様らは海兵隊員である。兄弟の絆に結ばれる。貴様らのくたばるその日まで何処にいようと海兵隊員は貴様らの兄弟だ。多くはベトナムへ向かう。ある者は二度と戻らない。だが肝に銘じておけ。海兵は死ぬ。死ぬために我々は存在する。だが海兵隊は永遠である。つまり貴様らも永遠である」

「7.62ミリ弾…フル・メタル・ジャケット。俺はもうひでえクソだぜ」

「ミッキー・マウス・クラブのお祝いか?どぶネズミが俺の便所でなに騒いでるんだ!」

「淫売の半分はベトコンの将校さ。あと半分は結核だ。咳してる女なら安全さ」

「君は兵隊が落ち込む記事を書きたいの?御存じの通りこの戦争は人気がない。我々は批判的な民間特派員が無視するような記事を書く」「御自分で戦闘を取材されたら?色々発見するのもうまそうだし」「昔、戦闘にケツを晒した。楽しくはなかったね。虫は嫌いだし危険も苦手。そんな訳で現任務が私には適材適所と言える」

「畜生、死ぬほど退屈だな。小便ちびる戦闘やゾクッとくる銃声が懐かしいぜ。血を見ない日は太陽の出ない日と同じだ」

「激戦の記憶は重い。奴は実戦の経験ねえよ。第一〝あの目つき〟がない。1000ミリ望遠の目つき。長くクソ地獄にハマったときの、マジにあの世まで見通す目さ。実戦を体験すると皆そうなる」

「単なる探りだよな?心の準備がまだなんだ」

「逃げる奴は皆ベトコンだ!逃げない奴はよく訓練されたベトコンだ!俺の記事書けばウケるぜ。メチャウマだからよ、嘘じゃねえよ。俺一人で現地豚157匹を始末したぜ。水牛50頭も。殺害確認戦果だぜ」「女子供も殺ったのか?」「時々な」「よく女子供が殺せるな」「簡単さ、動きがのろいからな。ホント戦争は地獄だぜ」

スターズ&ストライプスの報道員

行来必殺

「〝殺し〟を頭に乗せ胸には〝平和〟変態好みの冗談か?」

「人間の二重性に関連が…二重人格ユングです」

「ヘイ、ローン・レンジャー」「オーゥシット、スキンかぶりの色魔」「このクソゴミ顔だけは見たくなかったぜ!」「どんな具合だ?」この世への御帰還を待ってるのさ」「なぜ帰る?どっちもどっちだろ」

「信じないだろうが戦闘中のアニマル・マザーは世界最高の人格者だぜ。手榴弾さえ投げてやれば一生人格者で過ごせる」

「大いになる人生がここにある。俺たちは銃を下げ地球を歩く。愉快な緑の巨神。今日ぶっ殺した連中は稀に見る善人どもだった。国へ戻ると撃つに値する奴がいなくて寂しいだろうな」

「あの方ジョン・ウェイン?僕は誰?」「カメラ回せよ!ベトナム・ザ・ムービーだ!」

「俺が死ぬよりいい」「少なくとも意義ある死だ」「何の意義だ?」「自由」「考えてから言え新米。自由を守るネズミ殺しか?単なる殺しさ。おれがタマを飛ばされたら一言、プッシーだね」「ハンド・ジョブ(マスかき屋)はツキがない。病気送還になる直前だった」「病気って何?」「日に10回もマスかいてた」「マジだよ。日に最低10回だった」

「ここは格好の防御陣地だ。だから我々、先遣隊が通りに散って敵の抵抗が戦車殺しの…(ニヤつく)B40級ロケット砲だとヤバいし掃除して戦車を入れて街をぶち壊した」

「フエ市に入った時、戦争みたいだなって。つまり想像してた通りの戦争っぽい戦争。敵を見ると殺す」

「なんと言おうと海兵は最高です。悪名高き空の騎兵隊もクソ地獄に堕ちりゃ鬼の海兵に助けを求めるし」

「米国はここで戦うべきか?さあ、おれ個人は戦うべきさ」

「大統領の引用でいい?〝私は米国の若者に1万5千キロも旅をさせてアジアの少年たちにできる事をさせるつもりはない〟」

「思うに南ベトナム人は戦争に巻き込まれる事をあまり欲してない。つまり、そんな連中に剥奪された俺たちの自由は与えられた訳で彼らは自由より命が大事。そんな連中さ」

「北の連中はかなり手ごわい闘士だ。ゾッとするのは味方と言ってる連中も相当数が…信用できない。戦線から逃げる奴が随分目につく(ニヤつく)」

「そんな連中のために戦死して冷笑される。まったくの冗談」

「狙うべきベトナム人を間違えてるよな俺たち」

「状況次第だな。写真を撮るのが任務だけどヤバくなりゃ銃を取るさ」

「米国の参戦をどう思うか?そりゃ勝つべきさ」

「もっと兵隊呼んでさ派手に北を爆撃すりゃ降参するんじゃないかな」

「〝東南アジアの宝石〟ベトナムを見たかった。古い歴史と文化を持つ豊かな民に会いたかった。そして殺すわけ。町内で最初に殺害確認戦果をあげる子になりたかった(ニヤつく)」

「いい品かい隊長?ナンバーワンファッキするか?」

「黒い兄弟シコシコ駄目」「話が見えねえよ」「黒い兄弟、沢山ブークーね」「はっきり言え」「要するに黒い肉棒は入り切らんと」「車のクローム・メッキ吸い尽くす口だぜ…マダム、失礼して。ご覧頂く華麗なる一物はアラバマ純血種の黒蛇。沢山ブークーないね」

「俺が指揮をとる」「クソバカに従うよ。何処までも」

「進路を変える。あっちへ進む。エイトボールが案内役だ。エイトボール、踊ろう」「危険はニガーにお任せね」

「こちらカウボーイ、クソ地獄だ。2人やられた。クソ戦車はどうなってる」

「狙撃兵を仕留めた」

「俺がジョーカーを救った。ぶっ殺しちゃった!すげえや!人殺しの女殺し!」

「ここに残して行けない」「クソバカが。カウボーイもくたばったんだぜ。お前の最後のダチが。俺の命令に従え。俺の言い分は〝ネズミに食わせろ〟だ」「指揮する気はないが、このまま残していけないと言ってるんだ」「私を…撃って」「始末したけりゃさっさと始末しろ」「ジョーカー、これで勲章貰えるぜ。悪虐非道勲章を!」「強烈…まったく強烈」

「僕らはよく遊びよく働く仲良し仲間♪よい子の旗には永遠にたなびく♪男の子、女の子、近い子、遠い子、誰もがみんな大歓迎♪M-I-C-K-E-Y M-O-U-S-E ♪」

「頭に浮かぶのは硬い乳首の白日夢。潮吹き女王メリーが主催する生還祝いの妄想大乱交。五体満足の幸福感に浸り除隊ももうすぐ。私はクソ地獄にいるが、こうして生きている。もう恐れはしない」
幌舞さば緒

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